月が明るい夜に近所を散歩しました。
大きな街の住宅街。
新しい家が多いのですが、ところどころに古い家、
そして空き家になっている家が何軒かあります。
月の夜空き家の垣根にさざんかの花
主がいなくても、冬の夜に静かに咲いている花がけなげでした。
わたしの実家の庭にも、きっと人知れず咲いている花があるはず…。
月が明るい夜に近所を散歩しました。
大きな街の住宅街。
新しい家が多いのですが、ところどころに古い家、
そして空き家になっている家が何軒かあります。
月の夜空き家の垣根にさざんかの花
主がいなくても、冬の夜に静かに咲いている花がけなげでした。
わたしの実家の庭にも、きっと人知れず咲いている花があるはず…。
今月もいい本に出会いました。表紙がすてきな本がたくさん。
自然が創り出した美しい色の世界。どの色も豊かな広がりや奥ゆきを持っていますが、青はその中でもさらに深く静かで特別かもしれません。
空の色も海の色も花の色も、同じ青にとどまらず少しずつ移り変わっていきます。
人間だけがその世界の外にいるように思えてちょっと寂しくなります。
著者:イザベル・シムレール
図書館で借りました。
何回も開いて楽しみました。猫の絵がとてもいいですね。
表情やしぐさに味があって不気味で可愛い!
後書きを読んで、『猫と町田さんの秘密』に納得。
う~ん、この本、買いたい…。
著者:町田尚子
子どもの国語の教科書を読むのが好きでした。この作品も娘の中学の教科書で知っていいなと思い、十年以上前に購入したもの。ときどき思い出しては手に取っていますが、読むたびに新しい出会い、新しい感動があります。
ほのぼのとしているけど、なんだか切ない…。動物たちとゆっくり話ができたら、彼らの可愛らしさも悲しみももっとよくわかるのに、と最初の詩からしみじみとしてしまいました。
大好きなてつがくのライオンは、ちょっとおまぬけかもしれないけど、その単純さ素朴さが、やがて本当にてつがくに思えてくるから不思議です。
著者:工藤直子
絵日記かなと思って読み始めたのですが、ほのぼのとしたラブレター? お話?なんて楽しく迷ってしまいました。そんな垣根を越えて、「ぼくの日。ぼくだけのだいじな日。」と自由に語りかけてくれる本です。
幼い子の素朴なつぶやきのような輝きもあれば、そういうふうに考えればいいんだよねと安心させてくれる優しさもあって、ちょっと孫の勘違いや言いまちがいを思い出してしまいました。
絵も明るくのびのびとしています。比べるのもどうかと思いますが、ため息が並んでいる自分の日記を反省。
10月28日 著者:荒井良二
そろそろスナフキンが旅に出る季節、と思って手に取ったら、第1章がなんとそのままの題。一家はスナフキンより先にどこかへ出かけたようで登場せず、ムーミン一家に会いたいと集まってきた6人の共同生活の話でした。
お互いの個性に正直に対応する独特のいい関係。いつもみんなをほんわかと包んでいたムーミン一家が、ときどきみんなの心に現れて、そっと何かを教えてくれます。
ホサムが森の中で、ムーミンママの悲しい気持ちを思いやる場面が印象的でした。そう、母親はいろいろ乗り越えて笑顔なんです。静かに冬を待つ美しい森を歩きたくなります。
著者:トーベ・ヤンソン
シェトランドシリーズが、これでいいの?という終わり方だったので、フィクションなのに納得できずにいました。べレス警部にももう会えないのかと寂しかったのですが、また会えました。
ぐだぐだでもボサボサでも、べレスに会えただけでもうれしいのに、以前のように仕事に向かっていけるようになって一安心。「(仕事に)行かなきゃだめよ。お金が必要だもの。遠足に150ポンドかかるのよ。」というキャッシーの言葉にべレスも救われたけど、わたしも救われました。
おもしろく読み進めていたのですが、終わるのがもったいなくて最後はゆっくり。
著者:アン・クリーヴス
第一次大戦で苦しい経験をし、心と顔に傷を残した青年。青年が、塗りつぶされた宗教画を修復するために過ごした、英国の小さな村にある教会でのひと月の暮らしが、繊細な描写で淡々と描かれています。
美しい田園風景、そこで暮らす素朴な人々との交流、そして牧師の妻へ寄せる密やかな思い。その幸せな時間が青年の心を少しずつ修復していき、読む者にとってもおだやかな時間でした。
その幸せな時もやがて過去となり、もう戻ってはこないけど、だからこそ忘れられない、かけがえのないひと月…。
著者:J.L.カー
娘が中学生くらいの頃、デパートで食器を見ていたら、「たいした料理もしないのに食器ばかりかってどうするの?」と言われてしまいました。「あっ、いや、いい食器があれば作る意欲がわくかなと思って。」と言ってはみたものの、いっこうに上がらない料理の腕。片づけや掃除などはけっこう好きで得意なんですが…^^;。
感心したのは、バランスがとれていて充実した朝ご飯。仕事をしているとここまではできないと思いますが、近づく工夫と気持ちは持っていたいですね。土日に遊びに来る孫のために、心を込めて、楽しく頑張ります。
著者:田中千恵
老いが想像ではなく、実感を伴う年齢になりました。おばあさんの思いが、眠れぬ夜のため息が、我がことのように胸に迫ってきます。
たどってきた道で失ったものと積み上げてきたもの。誰にも語りたくない出来事。喜びや悲しみが織りなす物語。 おばあさんを、おばあさんの人生ごと、そっと抱きしめたくなりました。
『眼のまわりには楽しく笑い興じたしわ。口のまわりには歯をくいしばって悲しみに耐えた無数のしわ。』 そのしわがおばあさんが精一杯生きてきた証で、とてもきれいだと伝えてあげたい…。表紙が静かでしみじみとしています。
北国の湿原。そこに射す淡い日の光のように、幸せまでもが薄い女性たち6人の物語。
6人が高校の同級生であったり家族であったり、少しずつ関わって25年の歳月が流れていきます。その歳月がゆっくり流れる川なのでしょうか。女性たちの置かれた立場や心情が、切なく重く伝わってきます。
誰もが求める「幸せ」には、誰もが満足できる答えはなく不安や迷いばかり。ただ一人「わたしは幸せ」と言えたのは、貧しくても家族を愛し続けた女性だけでした。その生き方は、きっと他の女性たちにの心にも流れ込んでいったはず。最後の1行に力づけられます。
著者:桜木紫乃
又吉氏の柔らかな感性が伝わってくるエッセイ。本の魅力、読書の楽しさについて、やさしい言葉でていねいに書かれています。
なぜ本を読むのか…答えは一つではなく人それぞれで、その人の中でも時間や経験と共に変わっていくものかもしれません。
わたし自身は、1冊の作品にこめられた大きな世界、深い思いにふれて、この本に出会えてよかったと思うことがたくさんありました。言葉の力を感じたこともたくさん。「十年くらい人生を棒に振ったら『人生十年棒に振った』という武器を手にすることができます。」長く生きていると共感できる言葉です。
著者:又吉直樹
山には不思議な力があると、子ども時代によく行った近所の山、大人になっ
てからよく登ったアルプスや谷川の山を思い出しながら読みました。山の、と
いうよりは、古く大きな木々が発するむせるような生命力、そこで生きる獣た
ちの緊張した息づかいが、人里とは違う空気や匂いを醸し、不思議な力を感
じさせるのでしょう。
分け入っても分け入っても、ただ深くなる山々。そこにはまだ人間の知らない
世界、人間が見ないようにしてきた世界があるのかもしれません。
その世界に踏み込んではいけない。でも、忘れずにいてほしい、と物語が伝
えていました。
著者:田中彩子
福「も」来た…。前作で悲しいことがあったけど、いいこともやってきた話?そ
れとも、いいことが次々に来る話?「も」って、いろいろ想像させてくれます
ね。
どちらともとれる内容でしたが、その分いろいろと考えさせられました。
一番は、自分の思いを大切にするということ。焦りや不安があると、料理にも
人間関係にもそれが味となって出てしまいます。
相手のことを考えて、やさしい気持ちで丁寧に作られたサンドイッチとスー
プ。そして、そのやさしさが連れてきた福。心と体に沁みわたり、生きる元気を
もらえそうなお店です。コーヒーもほしいけど。
著者:群ようこ
何かを表現しようとするとき、何かを創り出そうとするとき、悩んだり苦しんだ
りすることが多いのでしょうが、それも含めて喜びですよね。
わたしも何かを創り出したいと思いながら、思うだけで年をとってしまいまし
た。まずは楽しく動き出してみる…そのエネルギーが感じられるジンジンでし
た。
こうして感想を書いて登録しておくと、またジンジンに会えますね。いろいろな
分野?の作品があって、夢が広がる1冊です。
著者:ジンジンするZINE
最近話題のこの本。わたしは読まないだろうなと思っていたんですが、友人
が貸してくれました。「最後まで読むとおもしろいよ。」と言って。
彼女が言うのだから単なるファンタジーではなく、何かあるのだろうなと思い
ながら読んでいたのですが、えっ!えっ!えっ!と3回くらい驚いてしまいまし
た。
最後、この言葉はどう捉えたらいいのだろうとその人物像について悩みまし
た。20歳という作者の年齢も。 美しい情景描写、細やかな心理描写、そし
て深い人間の描き方。 確かにおもしろい作品ですが、登場人物にちょっと疲
れました。
著者:阿部智里
こんな終わり方でいいの?と、フィクションなのにやりきれない思い。本当に
ひどい。悪天候で外部との行き来ができず閉ざされた島。そこに集まった
バードウォッチャーたちの閉ざされた意識や人格。とても自然を相手に活動し
ている人間とは思えない考え方、行動です。
自然に対してそんな向き合い方しかできない人たちを相手に、今回もペレス
警部が悩みながらじっくりと捜査を進めていき、父親が絡んできたときは、ど
んな恐ろしい展開になるのだろうといっしょに苦しくなりました。
冒頭の「遺書」という言葉が最後にあゝいう形で繋がっているなんて…。
著者:アン・クリーヴス
『湖から引いた疎水。疎水から引かれた用水路。その水路の途中が庭の池
になっている家。』その描写だけで、この物語にぐっと惹きこまれてしまいまし
た。
不思議な世界に連れて行かれて、植物や河童や狸やらにからかわれている
のですが、それが何だかとても心地良くて、ずっとその世界を漂っていたくな
ります。
しみじみと温かく、少し寂しく、現と夢と今と昔の境目を行ったり来たりしてい
るようでした。犬のゴローが一番賢い!でも、あちらの世界の葡萄の誘惑に
手を出さず、その断り方が失礼だったと、そこにいた紳士に謝った主人公も
素朴で好きです。もう一度読みたくなる本です。
著者:梨木香歩
涙腺の弱いわたしは途中から泣きながら読みました。次は泣かずにしっかり
読もうと思ったのですが、2回目もまた涙がこみあげてきました。
何度も仲良くなった鳥たちを見送り、孤独に心を固くしていたゾウガメ。そんな
ゾウガメのそばで、ずっと友だちだよと、今の思いを素直に話すヒワ。そんな
ヒワの可愛らしさや健気さが、いつの間にかゾウガメにとって心地よく大切な
ものになっていたのですね。
『きみがどんなヒワだったか、ぼくがおぼえていてあげるから。ぼくがひゃくね
んわすれずにいるから。』
ヒワをさがして海を眺めているゾウガメの目がいい!
著者:安東みきえ
人を傷つけても心が痛まない人間。信じたくないけど、小説に登場するという
とは、「いる!」ということですね。
そんな人間に復讐して、そのあと罪悪感なしで生きていけるのか、山野辺夫
妻のことを心配しながらも、千葉の力も借りて絶対成功してほしいと願いなが
ら読みました。
ちゃんと仕事をしても適当に仕事をしても「可」というのは残酷すぎるし、子ど
もが死んで悪人が長生きするのは辛いけど、どうやっても人間の力では抗え
ないものがあるのでしょう。
親子の愛情や友情は信じられるもの。千葉の純粋な働きぶりもけっこう信じ
られるものですね。
著者:伊坂幸太郎
前作の感想にも書きましたが、アルフィーの物語は人間の物語。今回も学校
になじめない子や近所の人たちから排除されようとしている家族が登場し、
彼らを救うためにアルフィーが奔走します。
なぜそんなに他人のために頑張るのかって? みんなが幸せじゃなければ
自分だって幸せな気持ちで暮らせないからです。 何といったって『地球は愛
で回っている』のですから。
読み終えた後、人間も少しだけアルフィーのように周りの人を思いやれれば、
自分も幸せになれるのになあと、単純に素直な気持ちになりました。
著者:レイチェルウェルズ
大好きな作家ですが、この本だけは悲しい結末が想像されて読めずにいました。悲しいというより、老いていく自分がやがて同じような道を辿るのでは、という怖さからです。
直木賞受賞後この本の感想を目にすることが多くなり、その感想に勇気をもらって読んでみました。
主人公の不安が、とくにメモを書きまくっているときの焦りが伝わってきて切なくなりましたが、荻原氏のもつ温かさにいくらか救われ、静かにスローグッバイしていくことを受け入れるしかないのかなと思いました。失って、また明日出会って…。現実はもっと厳しいけど、物語にはやさしさが必要です。
著者:荻原浩
幾度も読み返しました。見開きにある詩の題名を指でなぞると、その詩の中の言葉たちが静かにこちらを振り向いてくれるくらいに。読むたびに新しい言葉に出会い、新しい風景が広がります。
今日咲いた花はもう明日は咲かないかもしれないけど、いつかまた次の花が開くように、じっと待って、そして、またページをめくります。
著者:長田弘
「妖怪アパート」のシリーズが好きで7冊目くらいまで読んでいたのですが、登場人物が会話の形で語る内容がちょっと面白みに欠けるかなと思い遠ざかっていました。久しぶりの再会。
同じように不思議な世界が見える人々が登場し、一人ぼっちの少年をそのやさしくゆったりとした世界に連れて行ってくれます。 こんなふうに温かいまなざしで子どもを守り、包み込んでくれる大人の存在があれば、幸せになれる子どもたちがたくさんいるのだろうなと思います。
著者:香月日輪
ぼくの命は言葉とともにある (9歳で失明、18歳で聴力も失ったぼくが東大教授となり、考えてきたこと)
光と音のない世界、自分の存在さえ認識できないような世界。作者はそれを光のささない宇宙空間と表現しています。そして、そんな空間から自身を解放してくれたのは「言葉」だったと。
この本のタイトルを目にしたとき、わたしも苦しい経験をしたときに「言葉」に救いを求めたことを思い出しました。言葉によるコミュニケーションの仕組み。読書が与えてくれた力や勇気。どのページからも、人が生きる意味について共感し考えさせられる言葉が伝わってくるすばらしい本でした。
著者:福島智
物語の間中、ヴァランダー刑事はスウェーデンの変わっていく社会を憂い、自分は警察官を続けていけるのだろうかと悩んでいます。健康管理ができず、感情的で、食事に行くのに財布を忘れて…。と、そこまではまだいいのですが、肝心な場面で携帯電話を忘れてきたときには、本気で怒りたくなってしまいました。こんな疲れる主人公は珍しい。
でも、そこも含めて、警察官という仕事は人間が人間の犯罪を追う仕事なのだと、改めて考えさせられました。最後の方の小島を訪ねる休暇。「スウェーデンはこういうところから始まった」という言葉もいいですね。
著者:ヘニング・マンケル
怖ろしくて一気読みでした。スウェーデン、刑事ヴァランダーシリーズ1作目から、間をとばして7作目へ。
1作目は悍ましい事件と移民の問題とヴァランダーの家族の悩みが絡み合って重苦しい内容でしたが、今回もまた警察官でさえ吐いてしまうほどの殺人現場と、ヴァランダーの健康問題が絡み合って、こちらまで体調が悪くなりそうでした。それだけおもしろいということですね。
「いったいこの国はどうなっていくのだろ」「あと数年経ったら、スウェーデンはどんな社会になっているのだろう」…。人間はどうなっていくのか、日本にいても不安です。
著者:ヘニング・マンケル
イッパイアッテナと出会ってからのルドルフの成長ぶりがすばらしいですね。知識だけではなく「考える」ことを学んで、相手の気持ちを思いやったり、自分が身を引くことでみんなが幸せになれるのならと行動したり…。
もともとそういう光るものがルドルフにあったから、イッパイアッテナと仲良くなれたのかもしれません。
イッパイアッテナと以前の飼い主の関係もすてき。猫にとって一番幸せな生き方が待っていました。安心して、映画に行けます^^。
著者:斉藤洋
孫と映画に行く前に予習。1986年にはもうルドルフたちはいたのですね。でも、30年前、ということを感じさせないお話でした。こんな子どもたちがあちこちの広場や町角にいたよな、と思いながら楽しく読みました。
イッパイアッテナの兄貴肌、ネコたちの友情。子どもだけではなく、大人だって学ぶことが多いですね。2匹の暮らしがこれからどう変わっていくのか、ハッピーエンドを期待しながら次へ進みます。
著者:斉藤洋
文庫派でいつも待ちに待って…ですが、この本はすぐに荻野作品に会いたくて購入。理髪店に来るお客さんのシリーズかと思っていたら、違う6話の短編集でした。
年月を重ねると避けられない悲しみや痛み。言葉ではわかっていても、実際に遭遇すると立ち直るのはとても難しく、立ち直れずただずるずると引きずって生きていく人もいます。
一生続く辛さを引き受けるしかない人生。そんな人生にも同じように痛みを感じて寄り添ってくれる人がいれば、少しだけでも光がさすかもしれません。
待ちきれなかったのは、荻原さんの作品に感じるそんな温かい光ですね。
著者:荻原浩