六月の雪  乃南 アサ

 

 父が「湾生」だったことで、日本統治下の台湾についてある程度は知っていましたが、終戦後の台湾については知らないことが多く驚かされました。そして、台湾と日本のつながり、それぞれの国の家族のありようについて考えさせられました。台湾の女性が語る過去が少し長いかなと思いましたが、ここまで書かないと台湾の悲しみは書ききれないと作者は考えたのかもしれません。主人公未来が自分の将来を見つめるためにも。

  誰の人生も重く長い物語だと改めて思い知らされました。  もう父はいませんが、いつか父が好きだった台湾(台北)へ行きたいと思い続けています。

 

 

読書からはじまる (ちくま文庫)  読書からはじまる   長田 弘


 自分なりに本を読むことの意味や楽しさをわかっているつもりでいましたが、長田氏の考えにふれるとさらに深く大切なものがあることを教えられました。付箋を貼った個所を何回も読みなおし、それでもまだ言葉だけでわかったつもりでいるのではと考え込んでしまいます。

 『すべて読書からはじまる。本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。』

 かみしめながら、言葉でしか出会えないものをさがして行きたいと思います。


昨日がなければ明日もない (文春文庫 み 17-15)   昨日がなければ明日もない    宮部 みゆき


    日の当たる場所と当たらない場所で、人の幸不幸はこんなにも違うのでしょうか。いえ、環境のせいではなく、個々の思慮や性格のせいでしょう。あまりにも愚かな生き方しかできない女性たちに暗い気持ちになりました。ニュースで知る限り、現実もフィクションとそれほど違わないのかもしれません。

 相談者を思いやり、良心的で、でも鋭い調査をする杉村氏がくたびれませんように。ひょっとして新しい相棒?になるのかもしれない立科警部補と、次はどんな調査に臨むのか期待が膨らみますが、本当はもっと穏やかな世の中がいいんですけどね。


銀杏手ならい (祥伝社文庫)   銀杏手ならい   西條奈加


   江戸時代の手習い所が舞台の物語ですが、今の時代にも通じる考えさせられる内容でした。若い萌先生の、少し頼りないけど子どもを見つめるやさしいまなざしや、悩みながら自分も成長していく姿が、子どもを教え育てるために最も大切なものだと思います。西條さんの作品はまだ3冊目ですが、どれも帯にあるように「笑ってほろり」とさせられるものでした。


漢方小説 (集英社文庫)  漢方小説   中島 たい子 


 12年ぶりの再読。このゆるさが漢方の効果と同じだなと思いながら読んだことを思い出しました。心と体がつながっていることにも、ある程度の年齢になると体のあちらこちらに原因のはっきりしない不調が訪れることにも大いに共感できます。ただ、この物語の主人公はまだ31歳。これからが長い長い人生です。漢方でよい方へ向かうか、更年期にさらにつらい状態になるか…。

 漢方2000年の知恵と坂口先生の温かさのおかげで、とりあえず自分の体への向き合い方がわかって安心です。


かがみの孤城 上 (ポプラ文庫 つ 1-1)    かがみの孤城 上   辻村 深月


   主人公『こころ』が光る鏡に吸い込まれたように、読み始めてすぐに物語の世界に惹きこまれてしまいました。学校での人間関係、家族の気持ち。言葉はこんなにもどかしいものなのかと思いながら(下)へ。


かがみの孤城 下 (ポプラ文庫 つ 1-2)    かがみの孤城 下 
 

   辻村さんの作品は若い人への応援歌だなと思うことがあります。傷つき辛いことがあっても、気づかないだけで誰かがそばにいてちゃんと見ていてくれる。手を伸ばせばそっと受けとめてくれる。いつもそんなメッセージを感じます。自分だけの世界にいるときは見えなかったけど、同じように悩んだり絶望的な気持ちになっている人がいて、その人を助けてあげたいと思ったとき、自分もまた助けられている…。誰かを深く思う気持ちが、ときを超えて繋がっていく温かい物語でした。



R帝国 (中公文庫)  R帝国   中村 文則


    この世界に自分が望むような救いはないと思い知らされるような作品でした。

  何が幸せなのか言葉にするのは難しいけど、自由、多様性、個々の考えが尊重されるのではなく、大きな力にコントロールされ、同じ方向に進んでいくことが求められる世界。あの国もかの国も、ひょっとしたらこの国もと、ゾッとしながら読み終えました。

 サキのように抵抗すると傷も悲しみも深くなるけど、悲しむことさえできない社会は怖い…。エピローグで流した吉川の涙が、小さな小さな救いでした。


ホテルメドゥーサ (角川文庫)   ホテルメドゥーサ   尾崎 英子


   フィンランドの森に異次元の世界に通じる入り口があるという。そこへやってきた初対面の4人それぞれの物語です。自分の意志でやってきたような、何かの仕掛けで誘われるように来たような、そこからして不思議な話ですが、最後にその世界に行くか行かないか決めるのは自分。その緩さが考えるきっかけになり、次に踏み出す力になります。フィクションに参加するのもなんですが、わたしは行かないかな。


驚嘆!セルフビルド建築 沢田マンションの冒険 (ちくま文庫)    驚嘆!セルフビルド建築 沢田マンションの冒険   加賀谷 哲朗


    ごくたまに自分で家を建てました、という話は聞きますが、自分でマンションを建てましたという話は初めてです。建築の方法はもちろん未知の世界ですが、そんな発想もわたしにとっては未知との遭遇。なので、難しいところはとばして、写真を楽しみながらの拾い読みです。写真が全部カラーだったらもっと楽しめるのになんて思いながら。

「残念ながら違法建築です。」仕方ないけど、ついの住みかとしてはちょっと怖いですね。

 

 

 

うちの赤ちゃん りんちゃん(仮称)

 

里親さんのところへ行くまでの間

我が家で預かっています

 

2が月と半分 950g

とにかく小さくてかわいい!

でも、おてんばでよく動き

怖いもの知らずの冒険家

どこにでも何にでも飛び込んでいくので

目が離せません

 

 

 

お母さん姉妹猫も知人宅で保護されています

みんなに家族ができて 幸せになれますように