お月さん舟でおでかけなされ  神沢 利子

 

 海はこんなに広くて、海はこんなに美しくて、海はこんなに孤独なんだと、壮大さと繊細さにじっと見入ってしまいました。その海を行くお月さんのやさしさと静けさ。愛しい者を見つめるまなざしは何よりも強い力を持っているように思えました。
 赤羽氏の『つくり手が創造力を発揮すれば、素人、専門家を問わず、いろいろな未知の世界をうみだす』という言葉の通り、読む側も自由に想像の翼を広げることができます。

 


夜行 (小学館文庫)  夜行   森見 登美彦

 

  不思議な物語でした。始まりはミステリーようにも思えましたが、だんだん悲しさの方が大きくなり、やがてとても寂しい世界を漂っているような気持ちになりました。自分のいる今の世界の裏にもう一つの世界があり、自分もそこに存在している…。そんな不可解な世界が、とある銅版画と「夜」で過去へ現在へ複雑に繋がり、最後は読んでいるわたし自身が寂しさに絡めとられないようにと願いながら読みました。

  鞍馬はいかにも闇と繋がっていそうなところですが、京都から離れた場所にもこんな闇があるんですね。若いときに何度も夜行列車に乗りました。決まった線路の上を走っているのに、暗い窓の外を眺めていると、どこの町を走っているのか、どこへ向かっていくのかと、不安な気持ちになったことを覚えています。朝が来て、結局目指した街へ、現実へと着くのですが。

 


永遠の出口 (集英社文庫(日本))  永遠の出口    森 絵都

 

  多感な少女が、悩んだり迷ったり、笑ったり泣いたりグレたりしながら成長していく姿が描かれています。と書けば簡単だけど、こうやって生きていくことのすべてが愛おしく懐かしくなる温かい作品でした。

 青春時代は傷つきやすく波乱万丈。でも、大人になるとそうそう自分ばかりが主人公の生活はしていられません。それでも、最後のページにあるとおり 『私は元気だ。まだ先へ進めるし、燃料も尽きていない~どうかみんなもそうでありますように。』と、自分へも周りの人々へもエールを送りたくなります。 若さの輝きはないけど、味わいのある人生です。

 


さよならの手口 (文春文庫)  さよならの手口   若竹 七海

 

 葉村晶さん…。読み終えた後、本当に胃が痛くなりました。次から次へと厄介なことに巻き込まれるあなたのせい、じゃないですよね。おもしろくて400㌻をほぼ1日で読んでしまった疲れのせいですよね。勘もいいし、頭もいい。そして人もいい。運はどうでしょう。いいのか悪いのか迷うところですが、周りの人たちからそれなりに信頼され愛されているのだから、トータルで『良し!』ということでしょうか。

 本筋の人探しだけでも大変な仕事なのに、サイドで起きた詐欺女まで絡んできて、いつもの倍ケガをし入院までして、2倍疲れさせてもらいました。



おばあさんになるなんて   おばあさんになるなんて   神沢 利子


  写真で拝見すると華奢で創作一筋の印象ですが、淡々と語られる人生は家族の関係でも経済面でも苦労の多いものでした。前に『同じうたをうたいつづけて』を読んでいたので、重なる部分もありましたが、胸に秘めていた思い、お金を稼げない夫、書くことを始めた頃の生活など、こちらの方がもう少し深く自分を語っているように思えます。   

  年齢が近い身としては、がむしゃらに生きているうちにおばあさんになり、なりゆきに任せる日々だけど心騒ぐこともあると、先輩に教えられ励まされるような読書でした。大変なことの多い人生だけど心は豊かな人生です。



ストロベリーライフ (毎日文庫) (毎日文庫 お)  ストロベリーライフ     荻原 浩

 

  400㌻をほぼ一日で読み終えたのは、やはりおもしろかったから。そして、読みやすかったからですね。嫌がっていた農業、苺作りにのめり込んでいく主人公の心の動きや農業の大変さがひしひしと伝わってきて、これから苺を買うたびに「ありがとう」と言ってしまいそうです。親がどんな思いで仕事をしてきたか、親になってみないとわからないのかもしれません。家族のあり方、子どものかわいらしさなど荻原さんらしいなと思いましたが、なぜかちょっともの足りなさも覚えました。何か足りない。荻原さんらしい作品なのに荻原さんらしさが足りない…と、わたしの勝手な思い込みです。



ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)   ジヴェルニーの食卓   原田マハ


  絵に限らず、作品は実際に自分の目で見ることが感動につながるのだと思います。1枚の絵が語りかけてくるものを自分だけの感性で受けとめる…。それでも、こうやってマハさんの物語を読むと、画家たちの作品にかける思いや、彼らを支え、慕った人々の思いが伝わってきて、作品がより深くより強く語りかけてくるように思えます。とくにモネの章は、破損した睡蓮の絵の修復過程を描いたテレビ番組を見たことも重なって、読んでいる間中、水藻に映る光や植物の静かな佇まいが目に浮かんでいました。

 

      三毛猫 11月 家族が増えました。

 

  10月22日に子猫を保護しました。

 

以前病気の子を我が家に引き取った保護団体に連絡したところ

「病院で検査し、病気がなければ引き取ります。」

と言われました。

猫エイズも白血病も陰性。ワクチンも接種しました。

あたらめてその旨を伝えたところ

「ワクチンの効果が表れるまで2週間そちらで面倒を見てほしい。」

と…。

 

 

2週間たって、少し人にも慣れてきたのでよろしくと連絡したら

「人懐っこい子でなければ里親は見つからないので引き取れない。」

 

えっアセアセとなりましたが、何もかもわたしの責任と自分に言い聞かせて

我が家でいっしょに暮らすことにしました。

臆病で警戒心いっぱいですが、やっぱり子猫はかわいい♪

ゆっくり家族になれればと願っています。

もちろん、病気の老猫2匹もかわいいですよ。

 

 

いつもこんなふうに、思い通りにはいかず

肩に乗っかかるものを増やしてしまうわたしの生活。

ぐちゃぐちゃのまま今年が終わりそうです。

無理をせず、やれる範囲でやるっきゃない!