暑中お見舞い申し上げます

 

                            今回も90度回転のまま

       長い梅雨の後、忘れてかけていた暑さがちゃんとやってきましたね。

       

       暑い…。熱い…。

 

       少しずつ老いていくことは感じていますが

       この頃は、夏の猛暑でさらにガクンと大きく老いるような気がします。

       猫たちもぐったりしています。

       読書もはかどりません。

       なのに、食欲はちっとも落ちないのが不思議。

       水太り、アイス太り、冷やし中華太り。

 

       そんなことより読書の記録、ですね。

 


ご存じ、白猫ざむらい 猫の手屋繁盛記 (集英社文庫) ご存じ、白猫ざむらい 猫の手屋繁盛記   かたやま 和華


まじめで人の好い宗太郎の追っかけ^^ですが、今回は遠山の金さん並みにかっこいい父、銀四郎も登場。今どきの〇〇詐欺を思わせる巧妙な犯行を、二人で解決していきます。猫のままでもいいぞ、と受け入れてもらえたようで、はてさて道は近づいたのか遠くなったのか…。

 三話目はどこまでもお気楽な大店の若旦那の、ちょっと切ない恋物語。最後にいくらか救いがあるのかなと思っていたのですが、最後まで二転三転の切なさでした。生きて、生きて、生き抜いたものだけに来世があると、若旦那に教えてあげる人がいるとよかったのに。

 


君がいない夜のごはん (文春文庫) 君がいない夜のごはん   穂村 弘

 

 穂村氏は歌人で絵本も書いていると紹介欄にありましたが、申し訳ないことにエッセイしか読んだことがありません。そのエッセイがおもしろくて、穂村氏の人の好さ、ユニークさに癒されます。年が10歳くらいしか違わないせいか、出てくる食べ物の名前や思い出に「同じ。わかる。」と共感するものがたくさんありました。『伸びしろ』なんて全くその通り。

 まあ、こんな「食」をよく料理に関する本に連載していたなと、出版社側と穂村氏の大胆さに感心し、でも、こういう人がいてくれてこそ「食」も人生も楽しいとまた感心しました。やさしい人ですね。

 


三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫) 三鬼 三島屋変調百物語四之続   宮部 みゆき

 

 宮部氏の時代物を読むと、恐ろしいものはわたしたちのすぐそばにあって、生きた人間の心の闇が作り出すのだとつくづく思います。そして、その闇から人を救い出すのも同じ人間の愛情と知恵だと。

 今回はつらい経験をしたおちかを見守り、おちかの幸せを願ってくれる周りの人々のやさしさに、読んでいるわたしまで温かい気持ちになりました。そんな人が一人でもいてくれれば、誰も亡者や鬼にならなくてすむのに。それにしても宮部作品の念の強さ。読みながらうとうとしている間に、自分の家族が恐ろしいできごとに巻き込まれる夢をみてしまいました。

 


([し]4-6)花咲小路一丁目の刑事 (ポプラ文庫) 花咲小路一丁目の刑事   小路 幸也

 

 書店でよく目にする作家。楽しそうな表紙につられて手に取ってみました。

主人公は心根のまっすぐな新米刑事さん。『自分の手で何かを作って生活している人たちが、僕は好きだ。僕の仕事は、最終的には、そういう人たちを守ることなんじゃないかなと考えたこともある。』

 非番の日のよろず相談が話の主ですが、本番でもなかなかできる刑事さんかもしれません。小路…小路幸也さんと重ねてる?

 


草を結びて環を銜えん (ケン・リュウ短篇傑作集4) 草を結びて環を銜えん (ケン・リュウ短篇傑作集4)  ケン リュウ

 

 ケン・リュウ氏の描く日本や中国の独特な世界が好きです。遠い時代から吹き続けてきた風のようで、淡々と流れる音楽のようで、哀しみの方が多く懐かしく…。

 表題作は、非情で残忍な歴史に翻弄された遊女の物語。その強さと愛と、草を結ぶと信じて生きていく(死んでいく)人間の切なさに涙がこみ上げてきました。

 「万味調和」はヘニング・マンケルの「北京から来た男」と重なる部分がありました。アメリカで生きていくことを決意した中国人ローガンの語る物語や言葉が深い味わいを持って心に沁みてきます。ただ、氏の描く科学の世界は苦手です。



異邦人(いりびと) (PHP文芸文庫) 異邦人(いりびと)   原田 マハ

 

 芸術とお金が絡み合った画廊や美術館の仕事。その仕事に、東京も京都も違いはないのではと思うのですが、この作品では「東京」がかなり異邦人(いりびと)として描かれています。

 古からの人々の暮らしが築き上げてきた、京都ならではの美。その美に魅せられた女性たちの生き方は、まるで絵巻物を見ているように幻想的で、怖さを感じるほどです。最後の方は思いもつかぬ展開でしたが、それも妖しげなものを隠して受け継がれてきた京都ならではの美なのかもしれません。惹き込まれて読みましたが、読み終えて、わたしも異邦人でしかないと思いました。