堀文子: 群れない、慣れない、頼らない (別冊太陽 日本のこころ 267)
この本を読み終えた、と言ってはいけないのかもしれません。文は読み終えても、作品はもっともっと時間をかけて何回も見つめることでしょう。画廊でなら、作品の前から離れられないかもしれません。
100歳になり、病を抱えていてもなお創作を続ける生命力と自分への厳しさが伝わってきて、作品のすばらしさに惹きつけられると同時に、その生き方にも胸を打たれます。長い活動の間には手法が変わったり、描く対象が変わったりしますが、それぞれに対象への深い愛情が感じられて、どの作品も好きです。
一つの質問に一つの答え。質問も可愛らしかったり共感できたりでなかなか面白いけど、谷川氏の答えが心の深いところにすとんと納まっていくようで、しみじみと心地よい作品でした。心の深いところは、多分果てしない宇宙とつながっているのでしょう。
無数の星が集まって宇宙をつくっているように、たくさんの質問と答えが集まって、1冊の詩集になっているようでした。タイトルも挿絵もすてきです。市の図書館で借りたのですが、学校の図書館にも、できれば我が家にもぜひほしい1冊ですね。
猫の手屋シリーズ4作目。月に一度は宗太郎や長屋の人々に会いたくなります。
今回も、疑心暗鬼になって我を失う人々や、労咳で死んでいくかっての道場仲間のために、損得抜きで猫の手屋が働きます。もらった恩をよそへ送る。知らずに受け入れ、知っていても知らないふりをして受け入れ、お節介を焼く。貧しくても、人のために何かできるのは心まで貧乏じゃないということですね。今回も猫太郎に、いえ、宗太郎に教えられました。
いくつかの問いが投げかけられ、考え込まされる作品でした。舞台となったネパールは、一昔前、日本も含めて多くの外国の若者が、自由な雰囲気に憧れて訪れた国です。多分、その頃、若者たちが踏み歩いた地面にもう種がまかれていて、長い時間をかけて芽をだし、見えない根を張っていたのかもしれません。
大きな事件やセンセーショナルな出来事に目が向けられがちですが、その陰でどれだけの真実が割愛されていることか。そういう報道のあり方に悩みながらも自分の思いを貫いて記事を書く主人公に安堵し、共感し、長いけど引き込まれて一気読みでした
読み終えて感想を書こうとパソコンに向かったら、テレビで自閉症の男性ピアニストの話題を取り上げていました。昨夜、別の番組でも発達障害のある女性ピアニストについて放送していました。人とうまく関われなくても、好きなことや自分の才能を生かせることに出会えて喜びを感じられるなら、それがその人にとっての普通であり幸せです。
この作品に登場する古倉さんの生き方も、わたしはいいなと思います。自分が選ばなかった生き方が、やがて孤独や後悔をもたらすとしても、彼女はそれを引き受けて生きていくでしょうし。白羽氏は…どうしよう。
わたしたちは、知らされないことは知らない…。多分、福島にはもっと悲しい現実があり、その中で生きている人々や動物たちがいるのでしょう。言葉を発することができず、目で訴えるしかない動物たちの表情を見ていると、何もできずにごめんね、と涙がこぼれます。
胸が引き裂かれる思いで牛を殺した飼い主たち。牛飼いだから最後まで生かしてやりたいと行動する「希望の牧場」。どちらの痛みも苦しみも胸に刺さります。ただ、それでも、せめて寿命をまっとうさせてあげたい、人や動物たちが生きていることが希望だから、と思います。
誰かと話したい。自分をわかってくれる人と話したいのか、わかってくれなくてもただ自分の思いを伝えたいのか。とても冷静なのか、衝動的なのか…。はっきりと言葉にできないけど、そんな気持ちになることがきっと誰にでもあると思える短編集でした。でも、読み終えて心に残ったのは、北欧やカナダの壮大な自然、パリの街角の雑踏。矛盾しますが、言葉の通じないところへ旅に出たくなりました。
登場する人々に、どこかで会った?と思いながら、ほのぼのとした気持ちで読み終えました。具体的な設定はちがうけど、こんな感じの人がどこかにいたような…。「しょうしんもも」の地方公務員だったかな。神様からひと言告げられたサラリーマンだったかな。
一生懸命だけど、人を押しのけることができず、うまく立ち回ることも苦手。でも、自分の気持ちに嘘はつけない…。荻原氏の作品に登場するそんな人々が好きですが、彼らのそばで彼らの良さをわかってくれる人がいる、という別な意味でのチャンスもいいですね。
読書ではありませんが、映画「ボヘミアンラプソディー」を観てきました。
音楽のすばらしさに圧倒され、数日たった今も心がふるえています。
大スターなのに満たされない思いを抱え、孤独な日々に苦悩していた姿
そして、暗闇をぬけだして力いっぱい歌う姿に、こちらの方が励まされ
ました。
絵画 本 音楽 映画 … すばらしいものに出合えた11月でした。






