まるまれアルマジロ!―卵からはじまる5つの話 まるまれアルマジロ!―卵からはじまる5つの話


 あまりメジャーじゃない動物たちの、かわいくてクスッと笑えてちょっと切なくて、最後に生きる事が愛おしくなるお話でした。押しつけがましくにりがちな親子の愛情や生きる意味についてこんなに楽しくお話してくれるなんて、安東さん、さすがです。

 動物たちが哲学者かと思うほど名言?もたくさんでしたが、一番よかったのはこれ。「おたんこなすのあんぽんたんのへっぽこオオカミ!」下和田サチヨさんの絵も味があって、お話にぴったりです。
 著者:安東 みきえ

地球交響曲第三番 魂の旅 地球交響曲第三番 魂の旅

 

 『人はどこから来て、どこへゆくのか』その長い道の途上で、わたしたちは何を手にし、何を失ったのか。これからも失い続けるのか…。この作品に登場した人々が静かに問いかけてくるようでした。壮大な時間と自然を旅した後にわたしたちが辿り着いたこの場所は、本当に私たちが求めていた幸せな場所なのか。遠い記憶が語るものに耳をすまし、もう一度旅の目的を思い出してみてほしいと。 

 この本を読む前に、星野道夫さんの息子翔馬くんがアラスカへ行き、ボブをはじめアラスカの人々と会うドキュメンタリー番組を見ました。朽ちていくトーテムポールのように、いつまでも変わらないものはないけど、変わりながらも大切なものはきっと次の命へとつながっていくのだと考えながら見ていました。

 心に響く言葉がたくさんで何度もかみしめて読みました。星野氏の死を受け入れるまでの葛藤も、経験が重なって共感しました。

 著者:龍村 仁

 


北京から来た男〈上〉 (創元推理文庫) 北京から来た男〈上〉


 凄惨な事件、陰鬱な人間関係。そして、想像を超える時間と距離が織り込まれたつらい物語です。北欧ミステリーによくあるように、事件を追う側も個人的な問題や悩みを抱えていて、重ねて重い気持ちになります。でも、おもしろくてページをめくる手が止まりませんでした。

キッチンドリンカーならぬキッチン立ち読み。これ以上ひどいことが起きないようにと願いながら(下)に行きます。

  著者:ヘニング・マンケル

 


北京から来た男〈下〉 (創元推理文庫) 北京から来た男〈下〉


 どのページにも得体のしれない怖さが潜んでいて、読んでいるだけで動悸がしてきました。

 物語の舞台はスウェーデンから北京へと移り、中国の抱える大きな問題や深い闇がかなりの量で描かれています。遠く離れた北欧の若者たちに文化大革命がこんなふうに受け止められていたのかと驚き、そして、白人を優位に置く人々の差別がどれほど悍ましいものだったか改めて思い知らされました。その差別に対する作者の考えや綿密な調査が、今までのミステリー小説とは違う新しい物語を創り出しています。肝心の警察が事件の真相にたどり着くのか気になります。
 著者:ヘニング・マンケル

 


物語のおわり (朝日文庫) 物語のおわり


 1話目で絵美の書いた物語はたくさんの人に読まれる売れる本にはならなかったけど、道を探し続ける何人かの人にとっては道しるべとなる本になりました。物語の力。誰かへの思い、愛情、目には見えにくい人と人とのつながりもまた一つの物語です。 絵美の書きたいという気持ちを級友が後押ししてくれたけど、孫の時代にはそれがいじめの原因になってしまう…物語はまだ続きそうです。
 著者:湊 かなえ

 


為吉 北町奉行所ものがたり (実業之日本社文庫) 為吉 北町奉行所ものがたり


 罪を犯す人とそうでない人の分かれ道はどこなのでしょう。生来のものなのか、置かれた場所なのか…。

 この作品に登場する罪人たちは、周りから認められず貧乏や虐待の中で育った者が多いのですが、宇江佐さんの文からは彼らの愚かさを嘆くと同時に、誰かが手を差しのべていれば救われたかもという切ない思いが感じられます。

  温かい言葉、温かいご飯。そんな小さなことを幸せに感じてつましく生きていけばいいと宇江佐さんの声が聞こえてきそうです。

 著者:宇江佐 真理

 


桜守のはなし 桜守のはなし


 図書館の児童書コーナーで出合った本。以前読んだ水上勉の「櫻守」を思い出して、子どもたちに申し訳ないけど借りてきました。

 四季折々の桜の美しい写真と桜守佐野さんの味わい深い言葉が胸にしみます。その中から1つ紹介。「冬の寒さがやわらいで、つぼみがふくらんでくる。このようすを『笑いかけ』といいます」満開のときだけではなく、1年中桜は命の歌を歌い続けているのですね。   ただ、満開の桜を見ると、言葉にできない思いがこみあげてきて、涙が流れそうになります。いっしょに桜を眺めて、今はもういない人たちを思い出すからでしょうか。

 著者:佐野 藤右衛門


     きれいな名前に惹かれて購入したビール。読書のおともに。