今年は秋の訪れが早かったような気がします。
気がするだけで、例年とそれほど変わりはないのでしょうか。
風に揺れる花を眺め
やさしくなった雲や夕焼けを眺め
夜空の月を見上げて
もういなくなった人を思い
小さき者 弱き者の安らぎを祈る…
今月もいい作品に出合えました。
天上の葦(上) 太田 愛

図書館に予約して待つこと5か月。次に待っている人も多いはず、急がなくっちゃと気合を入れて読み始めましたが、すぐに惹き込まれて閉じられなくなりました。
おもしろい!おもしろいけど怖い…。中心にいる探偵たちのやりとりは楽しいのですが、公安という組織やメディアの裏が怖くてゾッとしました。途中から、気合は「この怖さを受けとめられるだろうか」という不安に変わりました。(上)を読み終えてしみじみと表紙を眺め、このタイトルや絵の意味するものは何だろうと考えています。
(下)を読まずに逃げる手もあるけど、どうする? もちろん、行きます。
見開きのたくさんの肖像画を見ると、世界にはどれだけの民族がいるのだろうと考えさせられます。多分、絵に描かれている人々よりもっともっとたくさんですね。その中で、自分の国といえるものをもち、自分たちの言語で生活していける民族はどれくらいいるのでしょう。
貧困、戦争、差別に苦しみ、移民となって生きることを選んだ人々の笑みのない表情が、一つ一つの絵から強く胸に迫ってきます。
わたしたちに襲いかかるものは何て大きく、わたしたちの胸にあるものは何て小さく美しいか…。最後の絵が、その小さなものを信じなさいと語りかけてきます。
もっと明るい世界を想像しなくてはならないのでしょうが、ロギンヒャやクルドの人々のニュースを聞いていると、つい考えが重く沈んでいきます。
少年が持っている箱のタイトルは『冒険』。そう、これはミステリーというよりは、ハラハラする冒険物語でした。
箱を開けると、中に入っているのは、貧しい暮らし、友情、好奇心、あこがれ、ずるい大人、拳銃、暴力、死、そして母や祖父の深い愛、父の正義と知恵。
次々に襲ってくる不可解で恐ろしいできごとを、少年は素直な目と心で乗り越えていきます。 箱の中が静かになってふたを閉じたとき、箱のタイトルが変わっていました。『家族が歩いてきた道への誇り』。 <追記>あらすじではありません^^。一応感想。
初めて読んだ星野氏の本「旅をする木」には写真がありませんでした。でも、文だけの本なのに、静かな海や凍るような星空、深い森の映像が、まるでそこにいるかのように心にうかんできました。
この本はたくさんの写真と文で構成されています。その写真の美しいこと。長い長い時間の向こうから、遠く旅してきた光や風がたくさんのことを語りかけてきました。
言葉にできない物語があること、星も森も無窮の旅を続けていること…。 わたしにとって、星野氏の文や写真はにふれることは、祈りです。
『家守綺譚』から続く物語。
『家守綺譚』と同じで、心地よい、理屈抜きに心地よい物語でした。
まず、身の周りにあるもの、触れ合う人々をあるがままに受け入れる、主人公の素朴で温かい心根が心地よいのです。そして、彼の言葉を借りて語られる、人以外の世界との折り合いのつけ方が心地よく、亡くなった人の思いや残された人々の哀しささえも儚く美しくて。
ただ、そんな世界にばかりいると、何だか主人公までがあちらへと行ってしまいそうで心配でしたが、やっと会えたゴローの笑みと「来い、ゴロー。家へ、帰るぞ。」の言葉にホッとしました。





