暑中お見舞い申し上げます
暑さと忙しさでなかなか読書が進みません。
気持ちも乗りませんが、そんな中で手に取った本は
疲れを癒してくれるようなものが多かった…かな。
最果てアーケード
10の物語が紡がれた小さなアーケード。
ドアノブだけを扱うノブさんのお店にはドアを開けるとすっぽり入れる空間があります。
読み終えて思いました。この本全体が、読者にとってのあの空間だと。そこにじっとしているだけで悲しみがこみあげてきて、やがてその悲しみがとても愛おしいものに変わっていきます。
静かに誰かを思い、静かに誰かを待ち続ける「善き人生」。
著者:小川 洋子
6話の短編にそれぞれの味。ちょっとした苦みと辛み、そして甘
み。もちろん主人公にスポットが当たってはいるけれど、周りにいる人々にもお互いを引き立て合ったり助けたりする味があって、一人で道は開けないのだなと思わされます。
好きなCMの言葉ではありませんが、世界は誰かの仕事でできていて、その仕事は誰かのためにとつながっているのでしょう。解説にもあったように、「お金以外のために」。
著者:森 絵都
人が猫の姿で生活するという不思議な設定ですが、「猫でも人でも、そんなことどっちでもいいじゃないですか!」と、おおらかで人情味あふれる長屋の住人たちが逆に不思議に思える楽しい作品です。
百の善い行いを積むと元の人間に戻れるようですが、先が長い!
住人のやりとり、幽霊や妖怪…よくある江戸の町人たちの暮らしも、少し手法を変えるとまたちがう味が出てきておもしろいですね。次も楽しみ。
著者:かたやま 和華
この作品は今までに何冊かの絵本になっていて、絵によって少しずつ受ける印象もちがうかもしれません。
文だけを読んで考えました。そう、みんな悲し身を背負って生きている…。そして、その悲しみは誰かと比べることはできないし消えることもないけど、思いやりながら生きていくことができる…。
背中のからではなく、人はみな心の中に悲しみを背負っていると、子どもたちはいつ気づくのでしょうか。 小3の孫には絵の方がインパクトが強かったようです。
著者:新美 南吉
木のまつり
いっしょに読んだ「でんでんむしのかなしみ」と同じ、鈴木靖将さんの絵がとても印象的です。
『まつり』という言葉にわくわくしながらページをめくりました。こんな緑の野原や蝶や蛍の群れを、子どもたちは想像できるでしょうか。とにかく絵がきれいです。誰もいない野原の奥で、こんなすてきなおまつりが繰り広げられているんですね。
著者:新美 南吉
物語の主人公は殺し屋。そして、物語を紡ぐのも殺し屋。
北欧の長く暗い冬が舞台で、心まで凍っているかのように残酷ですが、なぜか美しいクリスマスの物語です。
著者:ジョー・ネスボ
法人類学者デヴィッド・ハンターシリーズの3冊目。1も2もドキドキしてぐったり疲れてしまったので、今度は何が来ても驚かないぞと構えて読みました。それでも、よくまあこんなことを考えつくものだとあきれるほどのおぞましさ。
死体農場と呼ばれる人類学実験場の研究の様子も、これを仕事として受け入れるのはかなりの使命感が必要だと思うほどの過酷さでした。気持ちが沈みがちな仕事なのに、主人公には安らぐ場所がない…。幸せな私生活より今の状態の方がおもしろいのかもと、読者は勝手なものです。
著者:サイモン・ベケット




