布のいのち―人の心、くらし伝えて
ミント・オイルさんのブログで知った本。
古い野良着や普段着のもつ歴史、それを身につけていた人々の暮らしや思いについて書かれた本です。布に関心を持つようになったきっかけは、戦時中満州へ行く著者のために母が仕立て直した久留米絣の布団。その布団に顔をうずめて泣きながら、古い布には心があると知ったからだと。
農村で見つけた82枚の当て布で繕った腰巻をはじめ、食料と同じように布が手に入らないほど貧しい暮らしをしていた人々が、数十年前までこの国にいたことを改めて思い知らされました。布にはたくさんの汗と涙、生きることの困難さとほんの僅かな喜びがしみこんでいます。
著者:堀切 辰一
樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声
新聞の新刊紹介にあった「樹木は会話する」の言葉に惹かれて図書館にリク エスト。すぐに購入してくれました。
ドイツの森林管理官である作者が、長年木と向き合い観察して発見したことを科学的な根拠をもとに教えてくれます。内容の全部が、森の豊かさと同じ。樹木たちの生き抜く仕組みや、森の知恵に感心させられることばかりです。
ドイツでは「動物、植物、および他の生体を扱うときには、その生き物の尊厳を尊重しなければならない」と憲法に記されているとか。森を守ることが地球を守ることに繋がり、そこに生きる人間を守ることにも繋がるのだとまた教えられました。
著者:ペーター・ヴォールレーベン
ねこのせんちょう
表紙とページ全部に大きく描かれたせんちょうの絵に思わず「おおっ!」。
猫は本当に絵になりますね(と、かなり猫贔屓の感想)。
マイペースでゆったり暮らすせんちょうの一日を見ていると、世界中の猫にこんな平和な暮らしをしてほしいなと思ってしまいます。後ろで紹介されている本物のせんちょうもすてきです。
著者:マドレーヌ フロイド
エリック
絵も、文も、サイズもほのぼのとしていて、やさしい気持ちになれる作品で す。
好奇心旺盛で知りたがり屋の交換留学生“エリック”。彼の行動や知りたいことは、ぼくが予想していたものとは全くちがったけれど、「お国柄ね。」と爽やかに肯定するお母さんがいいですね。
エリックが帰った後に残されていた小さな花たちは、受け入れることのすばらしさと、受け入れてくれたことへの感謝を表しているのでしょうか。
著者:ショーン・タン
星がひとつほしいとの祈り
けっこう重いものを抱えた女性たちの話ですが、暗い気持ちにならないのは、それぞれが自分と周りの人を大切にし、静かにではあるけど前を向いているからでしょうか。
いい人と話すとざわついていた気持ちが穏やかになるように、マハさんのやさしさがさりげなく伝わってきました。そして、わたしも気の合う人といっしょに旅に出たくなりました。まずは五能線。
著者:原田 マハ
ハリネズミの願い
なんて面倒くさいやつ。でも、ちょっとだけわかる気がする…。いやいややっぱりわからない…。なんて考えながら、結末を楽しみに読みました。
ところどころに忠告、警告、哲学めいた言葉が散りばめられていて、こんなに難しく考えているとぐったりしそう。
カメがカタツムリに対して見せた思いの温かさ、そして現実の世界の訪問客、リスのさりげなさにやっとホッとできました。「また会おうね。」本当にすてきな言葉ですね。
後書きにあった、出版社の百周年記念事業。パーティではなく、テレヘンの本を10万冊無料配布したというのがいいですね。
著者:トーン テレヘン
本所おけら長屋
はじめのうちは落語みたいだとただ面白がっていたのですが、その弐その参と進むにつれて話が味わい深くなり、長屋の人たちの人情に感動すら覚えてしまいました。
自分が生きやすくなるには周りの人たちの幸せが大切。知らず知らずに身につけた庶民の知恵ですね。軽くかわされる言葉にも感心することしきり。温かい気持ちになれる本でした。
著者:畠山 健二






