ゆっくり何度も読みました。そばに置いて、これからも何回も読むでしょう。
妻を亡くしたあと、長田氏が妻を思い、死を見つめて書いたのでしょうか。悲しみを大切に胸にしまうように、静かで温かい思いが語られていました。
わたしにとっても、老いとともに死はとても身近なものになりました。愛する人たちの死も、自分の死も。
わたしはまだ、花を持って会いに行くほどには愛する人の死を受け入れることはできないけど、いつか大きくなった木の下で会えたらうれしい…。 会いたい…。
以前に見たクリムトの絵は、金色を使った人物画が中心でした。この詩画集では、少し趣の違う風景画が、美しい花の庭へ、そして深い森の奥へと心を連れて行ってくれます。
読了日:4月30日 著者:長田弘
この物語の中では、ほとんど何も起こりません。老いた人々には、物語の始まる前にすでに辛い出来事や怖ろしい出来事が起きていて、そんな過去を抱えたままでも、年をとるとこんなに静かに生きていけるのかと不思議です。
そして、若い人たちはこれから何かが起こりそうな現実の世界に生きているけど、過去と会話を始めている雛子がどんなふうに関わっていくのか…。期待と不安が残る終わり方でした。
雛子も飴子も、愛に真っ直ぐな女性だったのですね。
読了日:4月28日 著者:
本土から来たテイラー警部が、「ここの冬は最低だと思ったが、このいかれた明るい夜よりはましだったよ。」とぼやく、白夜の季節に事件が起こります。
前作同様、ペレス警部が人々のもとに何度も足を運び、じっくりと会話しながら隠されていた過去をあぶり出し、解決への糸口を見つけ出していきます。胃が痛くなるようなその手法が物語に陰鬱な影を刻み、冬とはまた違う重苦しさでこちらの胸に迫ってきました。
閉じ込められた小さな島、という舞台も人々の閉塞感につながっているのでしょう。わたしの浅い読みでは想像もできない悲しい結末でした。
読了日:4月25日 著者:アンクリーヴス
一人で勝手に北欧4カ国ミステリー制覇なんて意気込んで、その面白さにはまっています。今回はイギリスの作家ですが、舞台はノルウェーに近いシェトランド島。街の雰囲気も物語の重苦しさも北欧ミステリーに似ていて、また新しい魅力に出会いました。
中心にはペレス警部がいますが、場面ごとに視点が変わり、それぞれの人物の思いで物語が進んでいきます。その心理の掘り下げ方、表現の仕方が上手で、悲しく怖ろしい結末までのめり込んで読んでしまいました。
マグナムや残された人々がこれからどうやって生きていくのか、想像するのも辛いですね。
了日:4月20日 著者:アンクリーヴス
教場
おもしろくて一気読みしてしまいました。警察学校がこんな怖ろしいところだったとは…。 厳しい規則や罰則があると、人間の陰の部分がより濃く出てきてしまうのかもしれません。信頼より不信感に基づいての規則罰則ですから。でも、犯罪や不正と向き合う警官にとっては、相手の悪を見抜く力が必要で、一癖も二癖もある犯罪者と向き合うためには、いろいろな意味でタフでなければなりません。そのための訓練なのでしょうね。
ただ強いだけでなく、風間のような深いまなざしをもった警官に育ってほしいと、こんな教官がいてくれてよかったと思いました。
読了日:4月17日 著者:長岡弘樹
「いっぺんさん」は、愛されなくても人を愛することのできるしーちゃんがサクラ秘密基地の少年と重なって、最後は涙がこみあげてきました。
いっぺんさんがかなえてくれたのか、それともしーちゃんの強い思いが形になったのか…。『しーちゃんは優しくって、バカだから』自分のことより人のことばかり考えてしまうのですね。
他の作品は、「小さなふしぎ」を除いてとにかく怖かった!人間をのみ込んでしまいそうな自然や昔から伝わっている風習より、そういうものに縛られている人間の方が怖くてゾッとしました。切ないなんて言葉は使えません。
読了日:4月15日 著者:朱川湊人
おばさんどうしの会話を楽しむ感じで、「そうなのよね~」「それはどうかな」などと思いながら読みました。
心身不調、お金の心配等は、わたしの方が先輩なので「これからもっと大変よ」と思ったり、質素な食事や明日がないことに関しては「わたしもちゃんとしよう」と反省しながら…。
老後、気の合った女友だちで長屋暮らしをする計画、これはわたしも友人たちとよく話しました。残念ながら実現しそうにはありませんが、そうなったときの群さんのエッセイをまた読みたいですね。家族とのバトル等、いろいろあるけど小さな福をコツコツと、ですね。
読了日:4月13日 著者:群 ようこ
幼い子が人骨をしゃぶっている…。冒頭から暗く悍ましい出来事に気が滅入りながらも、ページをめくる手が止まりませんでした。
「湿地」に登場したエーレンデュルが、今回も自分の過去と家族の闇を引きずりながら、怖ろしい事件をコツコツと丁寧に探っていきます。
ミステリーというよりも、アイスランドの風土や歴史が生み出した悲しい家族の物語を読んでいるようでした。暴力を受ける妻の痛みと恐怖心、母親を守ろうとする子どもたちの思い。こんな光のあたらない場所で生きていて、叫び声さえ届かない人々がいたこと、今もいることがより恐怖です。
読了日:4月9日 著者::アーナルデュル・インドリダソン
人が生きていくために大切なものは何かー。
モリー先生の語るひと言ひと言からその何かについて考えさせられる、すばらしい本です。第1の火曜日から第14の火曜日まで、どの講義も自分の価値観を見直すきっかけになる意義深いものでした。老いについて、愛について、許しについて、そして死について。
こんなふうに考えて生きることが、周りの人々にとって、何よりたった一度の自分の人生にとって幸せなのだと思いました。
あたりまえのことかもしれません。忘れていただけのことかもしれません。理想論に思えるかもしれません。でも、大切なことです。
読了日:4月7日 著者:ミッチ・アルボム
「東京」とあるように、都会ならではの事情を抱えたタクシードライバー13人へのインタビューをもとに書かれたノンフィクション。
とくにそういう人を選んでインタビューしているからでしょうが、ドライバーになるまでの経歴やなってからの経験が濃く重く、ほかの職場とはちがうものを抱えているのだなと思いました。辛すぎるくらいに。
でも、もしわたしがタクシーを利用するとしたら、「いろいろあったけどこの仕事が好きで、お客さんも同じようにいろいろあるんでしょうね。」と思ってくれる、無口で穏やかな運転手がいいですね。
読了日:4月2日 著者:山田清機









