さぁ翼よ、筑波山へ行こう! (その5) | 釣り師風来坊のつれづれ日記

さぁ翼よ、筑波山へ行こう! (その5)

これまでのお話



T.O上空へ達したとき、強烈な突き上げを食らった

バリオの音が異常な音になる

まるで目覚まし時計のベルの音のようだ

私は暴れるキャノピーを抑えて、一気に旋回に入った

中途半端な旋回だと弾かれた上にキャノピーを潰されそうになる

ピッチも大きく動く

ヤバイ

それでもバリオはけたたましくなる

チラっとバリオの数字を見たとき目を疑った

+7m/秒 !?

まじでヤバイ

バリオの音が弱まった瞬間一気にブレークを引き込んでキャノピーを落ち着かせる

そして、再び悪魔のスティクへと機体を傾けた


逃げたら返ってやばい

突っ込んで回すしかない

そう思ったから見えない悪魔のスティックへ突っ込んでいった



サーマルとは、簡単に言うと目に見えない竜巻のようなものだ

もちろん、本物の竜巻だと命が幾つあっても足りないが、サーマルの渦はずっと穏やかだ

しかし、時として暴力的なサーマルもある

この日のサーマルはそんなサーマルだった

頭上では雲が不気味に黒く生贄を飲み込もうとしているようだった


ハイバンクをかけてグライダーを回し始めたら、バリオが悲鳴を上げだした

強烈な上昇をしている中でバリオの数値は+7.7m/秒

最後まで回しきるしかない

しかし頭上の黒雲は直ぐそこまで来ている

あの中に入ったらもっとヤバイ

しかし、上昇が止まらん

1800mを再び越えて1900m(海抜1960m)まで達した


最終回へつづく