『パール』観ました。
旧作につき、ネタバレあります。
1918年テキサスのいなか町。
ドイツ系移民の両親とともに農場で暮らすパール(ミア・ゴス)は、
映画が好きで、ミュージカル女優に憧れていました。
しかし、体の不自由な父(マシュー・サンダーランド)の介護をしながらの家業は大変で、
母(タンディ・ライト)はパールに厳しく接していました。
ある日、映写技師(デヴィッド・コレンスウェット)と知り合いになったパールは、
夢を叶えるために大胆な一歩を踏み出すことにします……
A24のホラー映画『X』の前日譚にあたるスラッシャー映画です。
『X』に登場する殺人鬼の老婆・パールの若かりしころを描いています。
妙な映画でしたね……
だんだん壊れていく彼女を描くんだろうと思って観てみましたが、
わりとはじめからぶっ壊れていた……
(^_^;)
たとえばパールは、この映画ですでに成人していて、
ハワードとも結婚しています。
でも彼は徴兵されて戦地へ行ってしまい、
パールは自分の実家に住み続けています。
ハワードはパールの家に婿養子に来たのでおかしくはないのですが、
でもやっぱり、既婚者が実家を手伝っているという雰囲気ではなく、
こわいお母さんの言いつけに腹をたてる思春期の少女みたい。
厳しい母に「何で私を嫌うの?」と聞くシーンがあって、
中身がほんまにこどもなんですよね。
世界規模で感染症が猛威をふるい、
第一次大戦時のアメリカで、ドイツ系の移民であれば、
周囲の風当たりも当然きつい。
そして、お父さんは自分では体を動かすことができないくらい重い障がいをお持ちでフルタイム介護が必要。
毎日生きるだけで大変なのに、
娘はいい年してふわふわしたことばっかり言って、
まともに働かない……
そら、当たりも強くなろうもの……
しっかりしてほしいという母の思いはまったく娘には届いていないのでした。
仕方がないか……
パールには殺人鬼になる片鱗はしっかりありつつ、
まだ“ふつう”でいるべきという葛藤もあるようで、
その不安定なところが、
なんていうか……居心地悪かったです。
(^_^;)
もっとぶっ飛んでハイテンションなら笑って観られたけど、
なんか哀れなんよね……
“かわいそう”というより“哀れ”ね。
こんなにここから出ていきたがっていたのに、
結局死ぬまでここから出られなかったのだと思うと、
それは気の毒だなとは思いました。
面白くはなかったけど、
ミア・ゴスさんの演技はすごかったです。
特にエンドロール!
家族の死体と腐った食材を並べた食卓を見て、
戦地から帰郷したハワードが凍りつきます。
その彼を出迎えて、パールが見せる恐ろしい笑顔。
スタッフロールが流れている間、
すっごい長尺で、ずっと笑ってるんです。
涙を流しながら。
あの顔をあの長さで表現し続けるってすごい。
「この女優さん、すごいな!」と、
思わずテレビに向かって言ってしまった。
『X』は三部作で、この『パール』が二作めで、
次が最後の『マキシーン』だそうです。
ここまできたら、ラストも観るか……
で、Xファクターってなにさ?
相変わらずよくわかんない、
へっぽこハンターコトワでした。
┐(´~`;)┌