『アラビアンナイト』観ました。
公開中につき、ネタバレしないようにしてますが、
納得いかなかったのでその辺は出てきます。
お好きな方はご注意!
口承文化などの物語を研究しているアリシア(ティルダ・スウィントン)は、
イスタンブールで美しいガラス瓶を手に入れます。
その瓶を洗っていると、
中から魔人(イドリス・エルバ)が現れ、3つの願いを叶えようと言います。
民話に詳しいアリシアは、この手の話は主人公を諌めるための教訓ものがほとんどなので、
彼を信用せず、願い事はないと言いますが、
願い事をしてもらわないと自由になれない魔人は、
自分の長い人生について語り始めます……
『マッドマックス』シリーズで有名なジョージ・ミラー監督の最新作です。
それで期待しすぎてしまった部分もあるかもと思いました…
特に、予告の段階で、
三つの願いごとを学者が拒否するというあらすじ、
かなりおもしろそうやんと思いすぎた。
そんで魔人が自分の三千年の人生について語りだして、
あれ…これは…
ひょっとしてロマンスものでは…
『アラビアンナイト』という邦題は、
原題『Three thousand years of longing』(願いごとの三千年)と関係はないのですが、
でもそれはヒントだった。
“アラビアンナイト”こと“千夜一夜物語”とはロマンス文学だから。
王様が女性を寝室に呼び、おもしろい話ができなければ一晩で殺し、
次の夜には別の女性を呼ぶ、
それを繰り返しているときに、
ついにおもしろい話をする女性があらわれ、
千夜勝ち抜いたという話をロマンスと呼べるならですが…
色恋沙汰に興味のない僕からすると、
古くからあるロマンスと呼ばれている話の大半が意味不明ですけどね…
大奥とかもそうだけどさ、
権力者に囲われる女性たちは奴隷のようなもので、
全然ロマンティックじゃないし、
彼女たちのふるまいに実家がどうなるかがかかってたりすると、
もはや愛がどうとかいう話でもないよね…
てなわけで、美しい映像と衣装で不思議な世界を見せてくれはしたものの、
アリシアの願いごとに大層がっかりして、
どうしてこうなった?と思ってしまったのでした…
まあ…ちょっとは前進したのかもな…
魔人がかつて愛した女性ゼフィールとの流れから、
今のふたりの状況を考えたら。
あのときよりは良くなったのだと。
たとえて言うなら、
「結婚するときにどっちの名字を名乗るか問題」で、
必ず女性が男性に名字を譲る必要があると思われた時代はもう古い、
というような展開かなと思いました。
国際結婚しても、男性の出身国に女性が移住する必要はない、
アリシアは住み慣れた国から引っ越す必要はない。
牛歩だけどね、その歩み…
三千年かけてやっとそれかよと思わなくもない…
もちろんロマンスがお好きなら、特に問題ないのかもしれないです。
だが、実は個人的に最近同じようなことでがっかりしたことがありまして。
深夜にやってた『三千円の使い方』というドラマを観てまして。
三千円の使い方で人生で大事なものが決まるというおばあちゃんの教えを中心に、
チャラチャラした生活をしていた主人公が暮らしぶりを改めていくお話。
おばあちゃんがバイトを探すけど、70歳超えているのでなかなか見つからなかったところ、
トミー・ヒルフィガーで働くことになるという仰天エピソードはめちゃおもしろかった。
でも、クライマックスで主人公のミホちゃんが結婚を考えた相手の借金問題になって、
大層ガッカリしたのでした…
ちょっとずつお金をためることでなにが変えられるのか、
たかが三千円、されど三千円、それをどう使うのか、
そういうことにもっと向き合ってほしかったのに、
結局結婚がどうのとか相手のご家族の借金がどうのとか…
若い女性が人生に使うお金のことを考えると、
結婚の話になってしまうのか。
結婚するなと言ってるわけじゃないですよ。
でも、まあ…ほかに考えることないのかよと思っちゃってね…
節約生活のために、チャラチャラした生活のひとつの象徴でもあった当時の彼氏とは、
おもしろいくらいあっさり別れたミホちゃんだったので、
ちょっとほかの展開を期待したんやけどねえ…
てなわけで、なんか続いたし、
三千つながりでがっかりしたのでした。
『アラビアンナイト』はロマンスものだったとおじいに伝えたら、
おじいが「なんでや?!時代はバディものやろ?!」と言って、
ティルダ・スウィントンとイドリス・エルバのバディ・ムービー、
おもしろそうやなと思った、
へっぽこハンターコトワでした。
(`・ω・´)ゞ
マジで、バディものならよかったのにな…