間違った方向に全速力 | へっぽこハンター日記

へっぽこハンター日記

新米ハンターのコトワがハンティングした音楽、映画、書物や芸術一般について語ります。

『キングスマン:ファーストエージェント』観ました。

公開中ですが…思うところがありましてネタバレ含みます。

 

 

 

20世紀はじめ、貴族のオックスフォード公(レイフ・ファインズ)は平和主義者で、

戦地に救援物資を届ける赤十字の活動を支援していました。

活動中に流れ弾に当たって妻が亡くなり、

彼は残された幼い息子を戦争から守ることを誓います。

 

それから約10年後、

謎の組織が、いとこ同士であるイギリス国王のジョージ五世、ドイツ皇帝のヴィルヘルム二世、

ロシア皇帝のニコライ2世(トム・ホランダーの1人3役)を反目させ、

世界大戦を引き起こそうとしていました。

 

オックスフォード公は朋友の指揮官キッチナー(チャールズ・ダンス)の依頼を受け、

成人した息子・コンラッド(ハリス・ディキンソン)とともに、

オーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者であるフランツ・フェルディナンド大公(ロン・クック)を護衛することになります…

 

 

2021年最後に観た映画がこれです。

 

アクションシーンはとても楽しかったです。

 

しかしですね…マシュー・ボーンの作品はいつも僕の倫理観と合わない部分があって、

ギリギリなんですけど、

これはその…アカンと思いました。

 

ひとつめに、世界史の裏に影の組織ありというおふざけが…

途中まではエンタメとして楽しんでたんですけど、

後半ちょっとシャレにならんと思って…

結局イングランドにええように、そのほかの文化圏をバカにしているのが透けて見えて…

ただの冗談だよといいながら、差別している人って感じでさ…

 

ふたつめが、これが大きいんですけど、

平和主義者のオックスフォード公が最終的に戦う理由が息子の死であること。

コンラッドはその若さから戦争に行きたがり、

実際に行って、その過酷さを知り、

平和を尊ぶ父が正しかったと知るんです。

なのに、コンラッドが戦ったように自分も戦うと、オックスフォード公は銃を手に取る。

これはいかん。

どうしてこんな、間違った方向に全速力で突っ切ってしまったのか。

 

これでは、キングスマンという組織そのものにもともと欠陥があるようになってまうやないの…

『キングスマン』でアーサーは道を誤るからあながち間違ってないのかもしらんが…

 

そもそも平和主義者のことを腰抜け呼ばわりする脚本はもう終わってると思う。

アクション映画であっても、そこは守らなあかんラインでは。

戦争映画は常に反戦を軸においてくれなくちゃ。

 

というわけで、これではアカンと思いました。

 

レイフ・ファインズは素晴らしかったし、

ジェマ・アータートンとジャイモン・フンスーは良かった。

 

リス・エヴァンス扮するラスプーチンのダンスは何回でも観たいと思うくらい面白かった。

 

でもこれはアカン。

ひたすらアクションとかの映画にしとけばよかったのに…と思いましたとさ。

 

まあでも…政治信条って、エンタメ作品でも出ちゃうよね。

それが人間の創作物ってもんですからね…

(-。-)y-゜゜゜

 

モヤモヤしてしまう、へっぽこハンターコトワでした。

(`・ω・´)ゞ