女性大行進の日に | へっぽこハンター日記

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新米ハンターのコトワがハンティングした音楽、映画、書物や芸術一般について語ります。

おつかれさまです。
なんとか労働してきました、へっぽこ風邪ひきハンターコトワです。
百日咳で腹筋が割れたっていう友達がいたのですが、
俺も腹筋割れてまうかもしれんとちょっと期待してしまうくらい咳が止まりません・・・
(´;ω;`)ウゥゥ
大丈夫な時もあるから、ちょっとずつ治っていってると思うんだけども。
 
さて、家でずっと安静にしていた昨日『アリス・イン・ワンダーランド:時間の旅』を観ました。
ネタバレありです。
 
前作のラスト、父の船を引き継いで中国貿易に乗り出していたアリス(ミア・ワシコウスカ)。
3年がかりで帰宅したら、共同経営者だったアスコット氏が亡くなり、
息子の、かつてアリスに求婚したヘイミッシュ(レオ・ビル)が跡を継いでいました。
ヘイミッシュはアリスの母(リンゼイ・ダンカン)から家と船を差し押さえ、
家を返してほしかったら船はあきらめるよう通達します。
 
ブチギレたアリスは、蝶になっているアブソルム(声:アラン・リックマン)を見つけ、
アスコット邸の書斎の鏡からワンダーランドへ。
そっちでは、マッドハッター(ジョニー・デップ)が亡くなったはずの家族が生きているかもしれないと言い出し、たいへんな気鬱の病にかかっていました。
彼を助けるために、アリスは時間をさかのぼって彼の家族を救うと決めるのですが・・・
 
 
原題は“Alice through the looking glass”ですので『鏡の国のアリス』なんですが、
鏡の国のアリスという日本語訳はもともとあまり正しくないうえに、
この映画の一作目を『不思議の国のアリス』とせずに『アリス・イン・ワンダーランド』としたせいで、このようなややこしい邦題になったかと思われます。
 
不思議の国のアリスのファンとしては、
前作はなんとも言えない気持ちになったのですが、
今回は不思議の国のアリスとは別物の、前作の純粋な続きと思って観たので、
楽しく観ることができました。
 
予告では時間の擬人化であるタイムさん(サシャ・バロン・コーエン)が悪役みたいになってましたが、別に彼はなにも悪くなかった・・・
時間をさかのぼって、死んだ人を助けるなんて、
あとあとの影響を考えたら絶対やっちゃいかん作戦だったからねえ。
 
ワンダーランドの時間をつかさどる動力源のクロノスフィアという面白アイテムが登場しますが、
ワンダーランドにあるのにワンダーランドの人間は使えないとかいうおかしなルールで、
アリスならよそものだから使えるっていうの、
はじめは都合よいなーくらいにしか思わなかったんだけど、
それを使って過去の自分と顔を合わせたらワンダーランドが破壊されるからなんだってわかったら、なるほどって。
よそものなら、ワンダーランド内での過去がないもんな・・・
ま、アリスも昔ちょびっといたから、ちょびっと過去あるけどな・・・
 
そんな感じで、前作はてきとうなファンタジー設定だったように思ったんだけど、
今回はちゃんと世界観があった感じで、そこがよかった。
タイムパラドックスというテーマは大好物だし♪
 
赤の女王と白の女王の確執の原因をたどっていくときに、
タルトを食べた食べないでもめて・・・っていうのを見て、
そうですよね!ポップタルトだよね!やっぱりね!みたいな気持ちになったのも(笑)
(『不思議の国のアリス』の赤の女王の裁判は女王のポップタルトをジャックが食べたかどうかの審議でしたw)
 
そんで、女性が船長なんていつまでも務まるもんじゃないのだから諦めるしかないのだといさめる母に向かって、
アリスが「母さんのようにはなりたくない」と言って、その場を立ち去ったシーンと、
父(リス・エヴァンス!!!)と仲たがいして、「父さんのようにはなりたくない」と言っていたマッドハッターのシーンが重なるときに、
これはちょっと雲行きがあやしいかな・・・って思ったんです。
 
親に反発して、あとあと後悔する・・・という展開にしても、
このふたつのケースはちょっと違いすぎるんですよね。
マッドハッターは帽子屋になりたかったけど、ちょっと独創的すぎて、
王族御用達のお父さんの帽子屋さんとはタイプが違ったん。
それと、アリスがやりたい貿易の仕事を諦めて、とっととどっかの男と結婚してほしいと思ってる母とではもう全然タイプが違う話で。
だって、マッドハッターの父は息子を認めてやりたい気持ちがあったけど、
アリスの母にはそれがなかった。
 
そのふたつを重ねられてもなあ・・・って。
 
そしたらラスト、ついに母がキレてくれて。
アスコットとは手を切って、一から出発することにしてくれた。
これがほんとにうれしかった。
 
ちょうどこの映画を観ていたとき、
ずっとツイッターではアメリカではじまった女性大行進(WomensMarch)の話題で持ち切りでした。
 
ありとあらゆる差別発言を繰り返していた問題人物が大統領になったことに対する女性たちを中心にした抗議のデモ行進で、
大統領就任式の一部暴徒化したデモとはまったく違って、
ひとりの逮捕者もけが人も出さず、思い思いの言葉の書かれたプラカードを持って、
みなさんで行進してました。
我らがスカヨハが「私はあなたに投票してないけど、あなたが大統領になったのなら、あなたをサポートしたいとは思う。でもその前に、まずあなたが私たちをサポートして」と言うの、
すごくええなって思ったよ。
 
アリスのいた19世紀のイギリスはほんとに女性の地位が低く、
女性が男性に頼らず、やりたいように生きるなんてことはほとんどできなかった。
そこから「ノー」という女性たちがたくさん出てきて、
今のようになってきた。
それを逆行するような発言をする人間にはちゃんと「ノー」と言わないといかんのだよ。
 
だから、この映画のこのラストが、
お母さんの「女は我慢するしかない」という意見を尊重して、
アリスが自分のやりたいことを我慢して終わる、というものでなくて、
ほんとによかったなと思ったのでした。
 
女性がどうのじゃなくてもさ、
自分のこどもがあんなに侮辱されて怒らない親はやっぱりアカンとも思ったしね・・・
俺なら絶対許さんよ・・・
 
てなわけで、なんか、たまたまなんやけど、
女性大行進の日にこういうオチの映画が観られてよかったなーって思いました!
 
あとねー、白の女王と赤の女王のお父さんの王様がリチャード・アーミティッジさんでした。
『ホビット』のトーリン・オーケンシールドやってたからか、
安定の王様顔と思った(笑)
ドラマ『ハンニバル』のレッドドラゴン役もよかったよー!!(*^▽^*)
 
 
おまけ!
 
 
 
 
この予告がとりわけ好きなので貼っておきます。
 
この映画の主題歌ではないんだけど、
Jefferson Airplaneの『White Rabbit』 をPINKさんがカバーしているのがすごくかっこいいし、
曲に合わせてシーンをカットしたりつないだりするタイミングがバッチリで、
ちょっとPVみたいな感じなんだよ!
観てみてねー!
ヾ(*´∀`*)