監督を好きになるワンカット | へっぽこハンター日記

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新米ハンターのコトワがハンティングした音楽、映画、書物や芸術一般について語ります。

先日『アルゴ』を見に行きました。


1980年、イランでは元国王を擁護したアメリカへの反発が高まり、暴動に。
暴徒はテヘランのアメリカ大使館を占拠します。

そのさなか、大使館から逃げ出した6人の職員はカナダ大使の私宅にかくまわれていましたが、
見つかれば公開処刑は免れないのでした。

そこへ派遣されたCIAのトニー(ベン・アフレック。劇中ほとんどケヴィンという偽名で登場)。

彼が思い付いたのは、
6人を『アルゴ』というSF映画を撮影するカナダ人スタッフであると偽装させて、国外へ救出するというとんでもない作戦だったのです…


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ベン・アフレックが監督もしている、
驚きの実話映画です。


とんでもない作戦ですが、
コミカルさはみじんもない、
生きるか死ぬかの緊迫したドラマです。


すごくよかった。

そらもう、『チャーリー・某・ウォー』とは全然違いますよッ!

救出方法は確かにとんでもないけど、
平和的手段なのが全然いい!!


ハリウッドの映画屋を演じたアラン・アーキンとジョン・グッドマン、
生き生きしていてすごくよかった!

有象無象のハリウッドを生き抜く、
ほとんど山師なんだよね!
(´ψψ`)


また、イラン国内がこんな時期に映画撮影なんかにくるか?っていうのも、
ほかのビジネスマンならありえないけど、
映画屋はそんな空気読めないっていうのがねー、
確かにあり得そうな気もした(^皿^)


そんでですね、
監督・ベン・アフレックを好きになるシーンがありまして。


それはカナダ大使宅の現地人お手伝いさんのサハルのシーン。

最後の方に彼女がイラクに入国するワンカットがあるのです。


6人+カナダ大使夫妻(かくまってたことがばれたら彼らも処刑される)を守るために、
軍に嘘をついてくれた彼女。

彼らは逃げて国に帰ればいいけどさ、
彼女はこの国の人だよ?
これからどうするんだよ。
と、思った矢先にこのワンカットがあって、
僕はベン・アフレック監督を好きになりました。

脚本がいいのかもしれないけど、
ていねいなつくりだなと思う。


ほかにも、空港で足止めをくらって絶体絶命のとき、
SF映画『アルゴ』のイラストボードを使って、
映画の説明をして、
映画クルーであることを信じてもらおうとするのですが、
そのあとで、もらったボードを楽しげに見るイラン兵たちのワンカットがありました。


彼らはたまたまこの国にこのタイミングで生まれただけで、
モンスターじゃない。

ふつうの時期に生まれてたら、
こんなのんきなSF映画に夢中になってるただの若者だったにちがいない。


そういう小さいシーンの積み重ねが、
じわじわ心にくる感じでした。

テンポもよくて、
緩急ついてて、
監督としてのベン・アフレック、いいなあと思った。

あ、役者としてもよかったですよ!

今回の役のヒゲは、
彼の顔の長さをカバーしていてなかなかイケメンに仕上がってました(^皿^)


さて、ベン・アフレックというと、
彼の朋友マット・デイモンはCIAの元スパイ役で大出世したわけですが、
今回アフレックもCIA!
と、地味にウケましたとさ。
\(^o^)/