薄暗いリビングのソファーで、
あたしはこの後の事を考え込んでました。
普通のケンカなら、
あの人はいつも話し合う事もせずに、
時間で解決しようとしてました。
だから、
お互い、納得のいく答えを出せた事なんて・・・
1度もなかった。
それが・・・
1時間ちょっとくらいで、帰ってきたあの人は
あたしの顔をみるなり、
「明日、お母さんに全部話す。」
そう言いました。
「ふうん。当然自分のした事も話すんでしょうね?」
あたしがそう言うと、
今度はだんまり。
「自分だけ、逃れようなんて、あたしは許さないよ?
先に裏切ったのはあなたでしょ?
あたしがそれを許してるとでも思うの?」
「オレはもうやってない。」
「だから何?事実は事実でしょ?証拠だってあるんだからね?」
あの人は、自分の都合の良いように行くと思ってたんでしょうね。
車の中で何を考えてきたんだかわかりませんが、
家に入ってきた時の勢いはどこへやら・・・。
うなだれてるあの人に向かって。
「あたし、あなたとは離婚したいと思ってる。」
やっと言えた。
あの人は黙ってた。
「桃と2人で出て行きます。でも、行く宛てがないので、
住むところが決まるまで家政婦として置いてください。」
畳み掛けてそう言った。
あの人は・・・
5秒程考えた後・・・
「わかった。もうそれしかないな・・・」
そう言いました。
あたしね、実はショックだったんです。
変に揉めるのは嫌だけど、
「桃は関係ないだろ、お前だけ出て行け!」
とか・・・
「少し考えさせてくれ」
とか・・・
そういう言葉を覚悟してたんですよ。
いや・・・期待してたの間違いかも。
この時の、あの人は、思考回路も遮断されてたのかもしれない。
でも・・・
娘、桃香に対しては愛情を示して欲しかった。
また、バカな期待をしてしまったんです。
あの人の返事の早さに、あたしは・・・
「どうしてそんなに簡単に答えられるの?
あたしはともかく、桃はあなたにとっても大事でしょう?
桃は渡さない、とか言えないわけ!?」
あたし・・・何年ぶりかであの人に涙を見せた。
本当に悲しかった。
そりゃね・・・、娘を渡す気なんてさらさらありません。
調停に持ち込んだって渡しません。
ただ・・・あの人の・・
娘に対する愛情が・・・
すごく薄っぺらなものに見えて。
それまで、
「この人ってほんとに上っ面だけなんだな。」
って思う事はよくあったけど、
娘に対しても、同じなのか・・・
そう思ったら、泣けてきた。
こんな人を夫にした自分が情けなかった。
あの人ね・・・
すご~~~~~~~~~~く、人当たりは良いんです。
よそから見ると、良いお父さん、良いダンナさん。
でも、内にはいると・・・
まるっきりだめ。
よその人と同じ。
何話しても俺には関係ない。って顔で聞いてる。
いや・・・聞いてないに限りなく近い。
友達の彼氏の方がよっぽど親身になって聞いてくれます。
っていうかね、会話が成り立たないの。
意見ってものを述べた事がまったくない。
キャッチボールにならない。
あたしはボールをなげるだけ、
返してもらった事は・・・
怒りの直球ぐらいですかね?
それから・・・まず、愛情を感じる事が全くなかった。
思いやりというものが欠けてる。
妻や子供に対して、無償で何かをするという事もできない。
何かをしてあげるのに、
「オレはこれだけの事をしたんだ!」
って恩着せがましい。
流されて結婚したあたしだって、
思いやりくらいはあった。
最初のウチはよく頑張ってたと思う。
でもあの人は
1回ごみ捨て頼んだだけで、随分と偉そうに
1週間ぐらいその事についてこだわるんです。
きっとお母様に、
「○○したら○○あげる」
って育てられたから。
だと思うんです。
娘にも、同じ事してますから・・・
あたし、細かいのかな?
普通にさ・・・
好きな人や、大事な人に対してなら
あれしてもらおう、これしてもらおう
じゃなくて・・・
「してあげたい♪」
って、自然に思えるものじゃないんですかね?
てゆーか・・・
結婚前は、まぁ・・・あったのかも。
デート代は9割は割り勘だったけど、(笑)
それでも・・・何かをしてあげたいって気持ちはあったんじゃないかな?
って思いたい。
ちょっと話それちゃったけど・・・
そのあとあの人はね。
「だってさ・・やっぱり桃は、ママじゃなきゃだめなんだよ・・・」
ですって・・・。
当たり前だろ?
だから思ったとおりに言ってあげました。
「そんなの当たり前じゃない!愛情たっぷりで育ててるんだから!
パパは・・・桃を抱きしめてあげた事なんか・・・ある?
怪我をさせたり、危険な事をさせても平気でへらへらしてるパパと
一緒にしないで!」
そう言うとね。
意外な反応が返ってきたんですよ・・・。