目を奪って離さない人そこにはKが立っていた。なぜ?Kの仕事場は違う方向のはず。必死に平静を装った。まだ向こうは気づいていない。ホームの列に並んで電車を待つ間に、少し落ち着いてきた。一年前とは違う。電車がホームに滑り込んできた。列が吸い込まれて行く。
そしてまた、桜の季節を過ぎた頃、いつものように電車に乗る。いつものように いつもの場所から…見慣れてきた顔が幾つか並ぶ列に並んで電車の入線を待つ。ふと、隣の扉の列に目を移した時目を奪って話さない人が立っていた。
あれから乗れる日は毎日のようにその電車に乗った。笑顔が待っていてくれた。と、勝手に思っていた。一年が過ぎる頃、私が退職の為に、電車経路が変わった。特に何を言うまでもなく、逢えなくなった。心臓が壊れそうな位のときめきから一年。私は違う路線で通うようになった。それは、普通の人が普通に通っているだけの、何もない日常だった。