最近金融マーケットで一番驚いたニュースと言えば、中国の外貨準備が激減していることだ。


中国は2014年6月には米国債を含めた外貨準備高を4兆ドル(500兆円)保有していたが、今年7月までに10%弱減っているらしい。(日経)


経常黒字が続いているのに10%近く減らしているのは驚きだ!


ところで、米国債の保有高だが、米国財務省が発表する直近の(2015年6月)国別の保有高をみると、中国が1兆2712億ドル(152.5兆円)、日本が1兆1971億ドル(143.6兆円)と2国がダントツの保有量だ。


リーマンショック以降日本は米国債の保有量で中国に抜かれていたが、今年の2月に日本が久しぶりに中国を上回ったことがあった。


しかし、その後は中国が微増、日本が微減という状態が続いてきていた。


2カ国で外国が持っている米国債の40%を保有している計算。


米国は毎年1兆ドルの米国債を発行せざるを得ないから、11~12%を両国がそれぞれ保有している計算。

まだ以降の数字は公表されていないが、本当はどのくらい下がっているのか発表が楽しみだ。


ところで、両国の米国債保有の意味合いは全然違う。


外貨準備の代表の一つが金(ゴールド)だが、日本は、ここ10年くらい金を売ってこそいるが、まったく買っている様子がない。IMFが発表している数字(信頼できると思われる)によれば10年前から
765トン近辺だ。


きっと、金を買わないよう米国に要求されているのかもしれない。
金の代わりに米国債を買ってくれっていうことなのかもしれない。


米国にとって基軸通貨としての米ドルを守る必要があるので、金は目の敵にする理由があるはず。その点では日本政府にそういうリクエストをしたとしてもうなずける。


ドルの基軸通貨としてのポジションを守るということだけではなく、米国政府にとっては米国債が売れないと国家予算がたてられなくなってしまうという現実的な問題に直面してしまう。(QE4でもやれば別だが。)


しかし、中国が米国債を購入する意図はまったく違うはず。


別に中国でなくとも、海外投資をする場合に高いイールドであるということは第一に違いない。その点では米国債は安全高金利の代表選手。

あるいは潜在的には政治的利用の可能性もあるに違いない。
また、困った時の資金の意味合いも大きい。


今回はその「困った時」のようだ。


中国が今回米国債を売った理由は、ドル売り中国元の原資にする目的だったと思われるが、それで造った中国元は株価対策用だったか?

あるいは、地方政府救済用か?
住宅金融で焦げ付いたシャドウバンキング処理用か?


昨日発表された中国の貿易収支で輸出量が年率で5.5%も落ちている。
それが分かっていたので、元の切り下げを行ったようだ。


先週末のGDPではPBOC総裁が中国は最近「はじけた!」と麻生財務大臣が記者会見で報告していたのを思い出す。

PBOC総裁は回復には「5年かかるだろう!」とのこと。


ここで、FRBが利上げを決定したら、世界はリーマン以上の金融危機が襲うことになるかもしれない。今日のFTのトップ記事でもそれを扱った記事となっている。


「FRBの利上げは新興国のパニックにつながる」という趣旨の記事だった。


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