娘の小学校のクラスメイトAとは、別のハイスクールになってしまい、しばらく疎遠になっていた。
しかし2年程空いて最近またやり取りが再開し、今はほぼ毎週、互いの宿題が終わる日曜日の午後に遊びに出掛けたりしている。

Aの父親が医者であるから、Aも医者にならねばならない圧力がある。
であるから、カーライルからは離れた場所にある、医学部に入る生徒を多く排出するハイスクールに入った。
小学校の卒業まで、成績は特別最高というわけではなく、何の圧力もない娘や他の生徒の方が成績は良かった。
小学3年から家庭教師が付いて、何とか今の学校には合格したが、合格への圧力から5年の頃はかなり不安定であったから、クラスメイトと頻繁に揉め、親同士も揉める騒ぎが何度かあった。

そんな印象のまま卒業したから、私は良い印象というよりは、不安定な女の子という印象である。
だから娘がまた会って楽しいと言ったから驚いた。

先日、娘がいつものように日曜日の夕方に帰宅した。
娘は「Aがオーストラリアに行くかも知らんて、悩んでた」と言った。
以前から夫婦中は壊れている話は耳にしていたが、この度、医者の父親はオーストラリアに永住を決めた。
イギリスの国民保険制度の元で医者をやるより、オーストラリアは3倍近く稼げる。
去年からジュニアドクターになってすぐの若い医者らが、こぞってオーストラリアに移住するケースが物凄く多い。
このお父さんもカナダかオーストラリアに行く方が、自分に見合う収入が得られるからである。

6歳の弟はお母さんに、お父さんは娘をオーストラリアに連れていきたい。
イギリス同様に教育機関はきちんとあり、大学も間違いない学問が学べる。
イギリスにいるよりも気候はよく、一年の8割が雨のカーライルより気持ちも楽しく暮らせるし、お父さんは一人になりたくないと父親から聞かされ、Aは迷っている。

可愛い弟と別れたくない。
大好きなお母さんと祖父母とも離れたくない。
でも大好きなお父さんをひとりぼっちにしたくない。
オーストラリアはカーライルより魅力がある。
行きたい気持ちが7割だと娘に言った。

わずか13歳の決断。
どちらを選択しても自分を責めるのではないか…
あまりに酷な決断を、あと2か月で下さねばならない13歳の夏休みに、娘は明日Aの家に泊まりに行く。
心が痛む話である。
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