日本の友人で、凄い田舎に嫁いだ友人がいる。
その地域というか集落に親戚、兄弟、身内全てが住んでいる男性と結婚した。
葬式が出れば白い割烹着を着、煮しめ、おにぎり、いなり寿司、巻き寿司…を作り、来られた方のお酌までするのが決まりである。
年末は餅をつき、神社を始めとする色々な所に配る。
お正月料理は全てが手作り、これは嫁の義務である。

私は友人の話をきいた時、「田舎はめんどくさいな~」と笑った。
友人も「そうやねん、めちゃくちゃ大変」だと言った。
正月の料理…これはもう家庭ごとに違い、田舎だからとか都会だからとかは関係ないと思うが、私は商売人の娘であるから、お客様としてうちの店に来てくださる割烹料理店からおせち料理を買うのが我が家の習わしで、物心付いた時には豪勢なおせち料理が当たり前で、一度も手作りのおせち料理は食べずに来た。
だから今さら嫁ぎ先で作らねばならないとなると、そんなん買った方がええやん…とつい思う。

そんな私はイギリスに嫁ぎ、義母が亡くなるまでは参加する事そのものが義務だったから、あの大阪にいた頃のウカレポンチクリスマス、同僚とご飯を食べて上司の悪口を言うて笑って家に帰る楽しいだけのクリスマスから一転、ただただ憂鬱で、行ったらエエんやろ?のクリスマスと化した。

それが義母が亡くなり、クリスマスは夫と我が子だけのクリスマスになった途端、私は我が子がイギリスで育つ以上、義母が作っていた伝統クリスマス料理を継承していかねばならないと思った。
もう私には作ってくれる人はいない、私が娘に継承する番になったのだと知った。
あれから私は義母が必ず作っていたものと、私のアレンジを増やしながら私のクリスマス料理を作っている。
結局、やってるやん…
そう思うと、やらなアカン環境になったら人間やるんやな…と今さら思いながら私は今年も作った。

今年は同僚の実家の農家から4キロの七面鳥と、3キロの牛を分けてもらった。
我ながら去年より、確実に腕を上げたと自己満足している。
私がもし日本で嫁ぎ、友人のようなところに嫁いでも、多分やらなあかんからやっていたのだろうと思う。
たまたまイギリスに嫁いだから、私はイギリスのめんどくさいクリスマス料理を作っているが、そうするのもまた我が家族への義務である。
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