私が日本から帰国する前日、義母がうちの家を掃除しておいてくれた。
この習慣はかつて義父母らが旅行に行った時も、私達が行った時も互いにそうして戻る前日に掃除をし、牛乳や卵、ベーコンやパン、果物などを買って冷蔵庫に入れておくという暗黙の了解の上に続けられてきた事である。
しかし、今回は夫が家にいたので夫に頼んでおいたのであるが、義母は自分の掃除でなければ綺麗にならないと思っているため、わざわざ来てくれたのであろうと思う。

さて日本から戻った2日後の事。
2階の風呂場の浴槽とトイレを掃除しようと思い、いつも使っている漂白剤入り洗剤スプレーを使おうとすると、ノズルが壊れているのか、中から液体が出て来ない。
まだ中には半分ほどの液体洗剤が残っているというのに、何でや・・と思いつつ、仕方がないので蓋を開け、中身をスポンジにこぼしながら使用した。

その後1階のトイレを掃除しようとしたが、1階に置いてある同じ洗剤がこれまた同じ状態で使えない。
絶対、義母や・・
そもそも、この洗剤は義母から教わった。
義母は風呂とトイレ掃除にはコレ、食器用洗剤はコレ、タオル洗いはコレ、衣類はコレ、床掃除にはコレ、絨毯にはコレという具合に使用する洗剤が決まっており、それ以外の洗剤では綺麗にならないと思っている。

そのため、イギリスに来て最初の1年義父母と同居していた時、その洗剤を徹底的に叩き込まれた私は、特に義母が我が家に来て目にするであろうトイレ用洗剤だけは未だに同じものを買い続けている。

義母、どんな握力でスプレーしたんやろか・・・
2本ぶっ壊れてるんですけど・・・

しかも、うちの階段と2階は絨毯敷きになっており、そこに義母が熱狂的なまでに好きな粉状の絨毯用洗剤を数本振りまいて掃除をして帰ってくれたものであるから、素足で歩くと氷の如く滑るのである。
つま先立ちでるかねば、転倒確率200%。
ヘルメット必須状態である。
これが私と義母が険悪な仲ならば、殺意を持って意図的にやっていると判断するであろう。
しかし、これは善意である。
善意なのである。

スプレーだけを買う為、わざわざ田舎道を車で運転して遠いスーパーまで行かねばならない。
二度とスプレー使うなー!!と車内で叫び、私はスプレー2本を買いに行くのである。

義母に感謝し生きていく。
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