理解と共存

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1か月ほど前、うちの村に1軒だけある市営住宅(戸建て)にとあるシングルマザー家族が越して来た。
その前までは、おばあちゃんが1人で住んでいたのであるが、彼氏の家に越して行ったため、その家族が入居。
その家が市営になったのは、随分前の住人が家のローンを払えなくなり、市が買い取ったらしい。
そのため、一定の収入以下の人が入居できる家となった。

この越して来たばかりのシングルマザー家族は、母親と息子の2人暮らしである。
村の人とは一切挨拶は交わさないが、この家の男の子(小学校高学年)はいつも家の中からブラインド越しに村の様子を見ている。
越して来た翌日、夫が「あの子、元教え子や」と教えてくれた。
担当したのは2年であったが、母親も少年もその事は覚えていない。
というのも、母親は14歳で薬物中毒と診断を受け、薬物中毒男性との間に子供が出来た。
妊娠中も薬物中毒で入退院を繰り返し出産するも、子供が4歳になった頃から学習障害など様々な障害が確認されるようになり、今は特別養護学校に週1、週4はちょっと離れた小学校に通っている。
子供は過去色んな施設で暮らしながら、今は母親の状態が落ち着いているとの事で母親と暮らしている。
母親は車の運転の許可が降りないため、買い物や子供の通学は全て市が負担しタクシーを利用する。

先週、子供を公園で遊ばせていた時の事。
娘が「あの男の子、木の後ろからこっち見てる」と言った方を見ると、その少年だった。
木の後ろに立ち、顔を半分だけ出してこちらを見ていた。
うちの子がボールを取りに近づくと完全に身を隠してしまう。
何かちょっと気味悪いなと思うかもしれないが、夫から「俺があの家族を知っている限りで言うと、母親は常に酩酊状態にあるため、言葉は一切交わさない。が、危害を加えるでもなく、攻撃性はないから大丈夫。あの少年も障害により行動が妙だと感じるかも知れないが、大人しい少年やから心配せんでエエ」と言われていたため、気にはなったが安心していた。

しかし、その様子を犬の散歩に来た村人達が見ており、噂が立ち始めた。
その家族の事を知らない住民らなら当然である。
母親の元には毎日、歯の無い汚れたジャージを着た女性が訪ねて来ては家の前でタバコなのか薬物なのか分からん、やけに煙の出る物を吸うし、子供はうちの子供を木の陰から見ているわけである。
うちの夫は事情を知っているが、それは住人には言えない。
だから、村人からすると「やっぱり、市営で入って来る人は・・」となる。

タクシーを利用するのも、子供が学校に通うためによく使われる手段である。
私も初めて聞いた時驚いたが、前に夫が勤めていた学校は95%の保護者が生活保護受給者の学校で、その半数が薬物依存またはアルコール依存で治療または保護観察の元で生活せねばならない親たちであったため、子供達の移動手段がタクシーである事を聞いた時は、「一体、ナンボ経費がかかんねん・・」と正直、憤りを感じたのは事実である。
しかし、その子供達が距離の離れた特別学校に通うには、タクシー手段しかないので仕方がない。

数日前、隣の御主人と立ち話をしていた時の事。
御主人はこの家族の事を知っていた。
ここに越してきた理由は、薬物中毒であった夫が前の家で、薬物の過剰摂取による心肺停止で亡くなった。
4ベッドルームの大きな家に母親と少年1人では住めなくなり、3ベッドルームの家に強制的に引っ越しをさせられ、ここに来たのだという。
「今はエエけど、あの母親が例えば薬物中毒の彼氏が出来て住まわせるとかになった時、それこそ怖い。こっちは薬物中毒に関する知識もないし、悪いイメージしか持たれへん」
と言った。
市も「安全」と判断しての事であると思うが、今後この家族と村人との共存がどうなっていくのか・・
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