クリスマス後の1月2月は、買い物客が減少する。
年末に散々買い物し、金を使い果たすからである。
とは言え、2月に入ると更にセールの値引きが始まるから、人はちらほら増え始める。

昨日は60代くらいの夫婦が来た。
1時間、いや2時間は商品を見ていたと思う。
夫の方は待ちくたびれてソファで待っていた。
妻は何度も同じ商品を試着しては棚に戻す。
夫が「買わへんのか?」と聞くと、「まだ19ポンドもする。この値段なら買わん」と言った。
ババアは私に「もっと下がるんか?」と聞いて来た。
私は「既に70%オフですから、これ以上は下がりません」と言った。
ババアは「でも、いつか誰かに売らなアカンのちゃうの?売れ残すわけにはイカンやろ?」と言った。
ババア黙っとけ
・・

私は「この値段なら、いつか誰かが買いますから」と答えた。
ババアは尚も試着し、結局買わずに出て行った。

翌日の今日、60代くらいの別の夫婦が店に来た。
夫は最初からソファに座り携帯を見ていた。
妻であるオバハンの方が何やら見ていた。
感じの様さそうな夫婦だったので、私は「大丈夫ですかー?」と声をかけたが間違い・・
オバハンは商品を手に取り、「これと同じものを在庫室から取って来て頂戴」と言った。

私は「あるか否か確認してきます」と言い確認したが、在庫は無かった。
そこで私は「売り場にある商品が全てです」と伝えた。
オバハンは「それは残念だわ。売り場に出ている商品は他の客が試着している商品でしょう?多少の汚れも付くかも知れない、人間臭も付着するのを買いたくないわ」と言い、商品を鼻に擦りあて、臭いをフガフガ嗅ぎだした。
怖っ!その行為の方が人間臭付く思うけどな・・
私は「あなた次第です。商品を見ましたが欠陥もありませんし、汚れも見えない為、理由なき値引きも出来ません。在庫室に在庫がないので、買うか否かはあなた次第です」と答えた。

オバハンは「マネージャーを呼んで。あなたパートでしょう?」と言った。
出た・・安モン客の言う台詞・・
私は店長を呼びに行き、店長に「値引きやホザいてますケド、理由がありませんから。試してるだけですわ」と伝えた。
店長も「当たり前や!!」と言い、オバハンに近づいた。

オバハンは再び人間臭について店長に説いた。
店長は「あなたの言う人間臭の付着は例えばワキガ臭や香水であったりという意味なら理解できない事もない。しかし、この商品は私が手に取る限り、そのあなたの言う人間臭もないし、汚れも傷も見当たらない。売り場にある商品を手に取り、それを試着してお買い求め頂く事は、全てのお客様がされている事で、公平でなければならない私どもとしては、売り場にある商品をお買い求め頂くから値引きという事は出来ません。ご理解ください。納得いただけないのなら、お買い求め頂かない方が良いと思いますし、あなた次第です」と言い去って行った。
オバハンは「心から残念だわ」と吐き捨てるように言ったが、店長は振り返らなかった。

オバハンの後ろに立っている夫と私は目が合った。
私は思い切りほほ笑んでみた。
夫は笑みを返したが目を下に落とした。

結局、オバハンは買った。
人間臭がすると言いながら買った。
レジを済ませると、夫は安堵の表情を浮かべ私に「ベストを尽くしてくれて有難う」と微笑みながら言った。

夫の言う「ベスト」とは何だったのだろうか・・
「人間臭」と言うオバハンには気を付たい。
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