うちの会社では毎年の8月、本社から送られてくる「質問」に応えねばならない。
その数100個。
読むだけで1時間かかる私にとっては地獄のような時間である。

質問内容は要するに「この会社で働いていてハッピーか?」と言う事である。
会社に対しての不満が無いかなどを聞く項目もあるが、ほとんどは直属の上司、つまり私の職場で言うならば「マネージャー(私は店長と私の中で読んでいるが)」についてを5段階に分けて評価する項目が圧倒的に多い。

店長に人を動かす力量があるのか否か、スタッフであるアナタとのコミュニケーションはどうか、仕事における伝達事項はちゃんと伝わっているのか否か・・などなど。
他にも「あなたには職場において友達だと呼べる人はいますか?いれば何人ですか?その友達のレベルはどの程度の深さですか?」などである。

この数字がこの1月にデータ化され、全ての店舗に返信されるが、勿論誰がどう答えたのかは分からないようになっている。
イギリス全土の店舗におけるスタッフ満足度の結果が出されたが、他の店舗は気の毒なほど上司への評価が低く、平均は30%も満たなかった中、うちの職場の店長への満足度は何と奇跡の100であった。

職場への満足度も100、上司への満足度も100、スタッフ間の満足度は44%、職場にいる時のモチベーションに関しては50%だった。
この44%を受け、本社側から「44%と言う事は、スタッフ間で仲良くできる関係性が低いと言う結果であるから、これについて話し合え。また、モチベーションの低いスタッフに関して、どうやって高くさせるかを話し合え」という命令が来た。
私個人的には、別に友達関係が有効でなくとも職場がちゃんと回っているなら、それはエエんちゃうんか・・と思うが、命令なのでそうはいかない。

さてチームリーダーである21歳の正社員が、私と2人きりでこの件についてを討論する時間が設けられた。(他のスタッフも個別でやっている)
「この44%をどう思うか」と聞かれたが、私は「別にいがみ合っているわけでもなく、単に個人が友達だと思える人がいないと思っているだけの事で、それを望んでいるか否かは知る由もない。とにかく私はここの職場で仕事をさせてもらっている事に大満足である」と答えた。
また、モチベーションに関しては「本人のやる気を何でどう高めるのか・・17歳がほとんどを占める我が売り場において、どう責任感を持たせやる気を高めるのか・・・私は正直分からん」と答えた。

それをリーダーは一語一句ノートに書き込む。
私は言った。
「私の場合、他のスタッフと違うと思うねん。こんな外国人のしかも英語も完ぺきではない、時に21歳のリーダーや若いスタッフらに英語の部分で助けてもらわねばならない場面がいくつもある私の場合、こんな私を採用してくれて有難う、仕事を与えてくれて有難う、ただただ店長に感謝するだけやねん。店長は私を採用してしまった事を後悔はしていないだろうか、だとしても私頑張ります。人の3倍頑張ります。言葉で助けてもらう分、皆から不満が出ないよう3倍働こう、いつもそう思ってこの職場に来ているから、私は感謝はあれど友達がいないから寂しいなど思う事もない。私がここを去る時はカーライルを去る時やと決めているから」と言った。

リーダーはこの私との会議結果を店長に報告せねばならないが、私が雑談としてこれをリーダーに話したのであった。
しかし、これをリーダーがまんま店長に見せた。(さすが21歳・・分かってへんわ・・)

これを読んだ店長が何故か号泣し、レジ中の私に泣きながら抱き着いて来た。
レジで支払い中の男性ビビる、私は「ああ。。あれ見せたな・・」と思う。

店長は言葉にならなかった。
「有難う、外国人を採用するのは初めてやったけど、こんなに一生懸命働いてくれるスタッフは3人もいない。本当に私こそ有難う」と言って来た。

仕事がもらえる有難さ、仕事にありつける有難さなど日本で考えたことも感じたことも無かった私にとって、ここの生活の試練が今、この感謝の気持ちを持てる日々に繋がる。
そう言う意味では、イギリス生活が私の経験数値を上げてくれたのかと感謝する。

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