今週、旦那の真ん中の兄(オーストラリア在住で、オーストラリア人の嫁がいる)が40歳の誕生日を迎える。
これにあたり、本来ならオーストラリアまで出向き、息子の40歳を祝いたかった義父母であったが、義父の透析の事、体調の事、義母の手術などで行けなかった。

これを受け、嫁は「さぞかし、あなたの息子はガッカリする事でしょう」と義父にわざわざスカイプで告げ、義父母は罪悪感で苦しんだ。
「してやれる事は、息子の希望を叶える事」だと義父は言い、「僕に何が出来るか」と嫁に尋ねた。

ここで義父が間違いを犯したのは、誕生日を迎える本人に「何が欲しい?」と聞かず、嫁に聞いてしまった事である。
嫁は義父に「彼はいつも気球で旅がしたいと言ているわ。そして有名ワイナリーにある老舗高級ホテルに宿泊し、そこのフレンチディナーを食べ、最高のワインを飲み、そこのホテルで有名なラグジュアリーエステを受けたいと言っているの」と言った。

それをそのまま受け取った義父は、嫁に言われるがままに旅行会社にお金を振り込んだ。
気球は往復で20数万、宿泊は1泊が5万でこれを2泊、オプションで付けた豪華な朝食とフレンチフルコースディナー2日分、1人5万のエステ、更に嫁は自分用にペディキュア(これも3万)を付けさせ、全て義父が支払った。

この話を聞いた時、旦那と私は疑問に浮かぶ事があった。
それは、義兄が高所恐怖症だったと言う事を私達が知っていたからである。
なぜ私が知っていたかというと、数年前まだ私達が日本に住んでいた頃、義兄はオーストラリアから日本に遊びに来た事があった。
その時、姫路城に連れて行き、とても喜んでくれたのであったが、お城の上まで登ったとき、義兄が「アカン、恐くて足が震える。景色も見れたもんじゃない。もう降りたい」と言ったのである。

この時、義兄が「自分は高所恐怖症で、飛行機に乗るときでさえ睡眠薬を服用する」事、そして「上空で働くのが嫌だから、海軍に入った時、潜水艦で働けるようにエンジニア職を選んだ」事を話してくれたのであった。

だから義父から「こんな贈りものをしたんだよ」と聞いた時、オカシイと思い「確か、C(義兄の名前)は高い所が苦手だったはず」と助言したものの、義父は「しかし、本人が希望していると嫁が言っていたし、もう克服したんじゃないのかな」と流された。

そのまま月日は流れ、いよいよ明後日に出発と言う日、嫁は義父からのプレゼントである事は伏せ、あくまで自分からのプレゼントであるかのように「今週末、気球に乗ってワイナリーまで・・全ては支払い済みだから」と打ち明けた。

義兄は「そんなもん行くか!!!」と怒った。
「俺が高所恐怖症であると知ってて、何で気球など!!」と怒った。
ここで初めて嫁は「あなたのお父さんからの提案よ」と打ち明けるのであった。

義兄は国際電話で義父に電話をかけてきた。
「気持ちはありがたいが、俺が極度の高所恐怖症だと知っていて、何故こんな内容の・・!!」と怒った。

言われた義父は困惑。
「嫁はオマエが前から行きたいと言っていたと言うから、喜ばれると思って・・・」と正直に話した。
そこで初めて、嫁がただ自分の乗りたかった気球と、雑誌に取り上げられていたセレブ御用達のホテルディナー&エステを受けたかったのを、義父に申し込ませただけだと判明したのである。

しかし3日前のキャンセルは、30%しか返金されない。
合計は軽く40万を超えている。
義父は怒ったが、嫁はこういう時にスカイプにも出ず、電話にも出ない。

結局、気球の20数万は30%だけ返金され、ホテルには車で行く事となった。
130キロの身体に5万のエステを受け、何を変えようと思うのであろうか・・
全ては嫁の希望する旅行であったことに、今更気が付いてももう遅いのである。

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