毎月行われる文芸誌『小説現代』のショートショートコンテストに2回に1回くらい応募していたのですが、2016年8月号で入選しました! 浅田次郎や夢枕獏と同じ雑誌に自分の書いた話が掲載されて全国の書店に並ぶなんて、本屋で実物を買ってきた今でも信じられません。
【ショートショートコンテストとは】
このコンテスト、とても夢があります。応募規定は原稿用紙5枚という極めて短い分量(だから難しいんですけど!)で、素人をちょっとやってみようという気にさせてくれます。
公式の情報はありませんが、噂によると大体毎月300くらいの応募があるようで、そのうち5編が掲載されますから、60倍くらいのほどよい倍率です。掲載されればもれなく直木賞作家の阿刀田高先生から短いながら選評があり、謝礼2万円がもらえ、『ショートショートの花束』という文庫本に掲載されます。
このくらいの倍率なら、掌編小説の書き方を心得ている人ならばいつかは載りそうだし、落選が続いても、毎月やっているので気持ちを切り替えて挑むことができるでしょう。実際僕も1年間かけて、今回の6回目の応募で入選しました。
選者の阿刀田先生が仰っているように、このコンテストは「あくまでも優雅な遊びである」です。入選したからと言ってプロ作家への道が開けるわけではありません(有名なプロ作家がアマチュア時代に入選していますが、腕試しに過ぎなかったのだと思います)。作家志望の方はこのコンテストをあくまで練習として使うべきでしょう。ゴルフに喩えると、打ちっ放しに千回行っても、コースに出なければ上達しないのと同じです。出版社にとっても、原稿用紙5枚の作品だけで本を出版するのは現実的ではありません(仮にショートショートだけで小説の本を出版するとしても、少なくとも1作あたり原稿用紙10~20枚の分量は必要です)。5枚で本が出るとしたら、前述の入選作を集めた『ショートショートの花束』と、その前身で星新一先生が選者だった頃の『ショートショートの広場』だけが例外と言えるでしょう。
しかし幸いなことに2016年からキノブックスの『ショートショート大賞』という文学賞が立ち上げられたので、長らく難民となっていたショートショート作家志望に活路が開かれました。書くものが短編や長編でなくても作家になれるのです。
【書くべき小説】
小説を書いているというと、ほとんどの人は長編小説の執筆だと考えるでしょう。でも僕にはそこまでの構成力や文章力がありません。ショートショートにその2つが不要かと言えば全くそんなことはありませんが、短い話なので、完成させるために使う労力はそれほどではありません。ショートショート、短編、長編はそれぞれ求められるものが微妙に違うし、やはり長ければ長いほど飽きさせないキャラクターの魅力や、舞台設定、起承転結や伏線など物語自体の構成力がものを言います。
文学賞について詳しくない知人が善意で「君もそろそろ次のステップに進んだら?」と言ってくれたのですが、このステップを踏むのにどれだけ苦心惨憺したことか。知人はおそらくこういったコンテストではなく文学賞に応募したらどうかという意味で言ってくれたのだと思いますが、僕にとっての次のステップはショートショートコンテストでもう一回掲載されることです。
しかしながら、もっと長い話が書いてみたいという気持ちが以前からあり、この1年で原稿用紙10~20枚の話を十数作書きました。僕はプロ作家志望ではありませんが、原稿用紙20枚以下のショートショート(掌編)でプロ作家になるのは至難の業です。阿刀田高先生のような神がかった文章力と重厚な経験値、博覧強記、更に出版業全盛という時代の後押しをもってしてようやく作家としてやっていけるのですから。今は小説を読む人が減り、需要が減って完全に作家があぶれる供給過多の時代です。
【文学賞と倍率】
さて、ここで世の文学賞の倍率はどのくらいでしょうか。有名な直木賞や芥川賞はちょっと特別なものなので除きますが、ミステリーやホラーなどのジャンル限定で300倍以上、フリージャンルだと1000倍近い数字です。300倍以下の文学賞も沢山ありますが、これは受賞しても本が出ない(=プロにはなれない)ものがほとんどです。
【小説を書く理由】
今、初めて短編小説を書いています。原稿用紙100枚くらいの予定で、短い中編とも言える長さです。そもそもの自分が小説を書く理由について考えてみたのですが、僕はプロの小説家になりたいわけではないです。
良い作品が作りたい。自分にできることを極めたい。叶うなら自分にしか書けないものを書きたい、という想いです。そこで自分の作品の良し悪しが知りたければ他人に読んで評価してもらうのが一番ですが、評価する人間には絶対に能力が必要です。そうなれば、大量に読んで、大量に書いて、他の誰よりも小説について考えてきたベテラン作家の先生方が最適。そのベテラン作家に読んでもらえるのが文学賞なのです。
他の応募者と動機を少し異にするかもしれませんが、今回の短編を友人が勧めてくれた『第11回小説宝石新人賞』に応募してみようと考えています。倍率は約1000倍です。受賞出来るだなどと夢にも思っていませんが、一次選考で残るのが40作程度だそうで、25倍の壁というのは良い目標になりそうです。
名のある文学賞の一次選考を通過出来たとしたら、自信を持って周りの人に読んでもらうことが出来そうです。