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 国語力というのは記憶力だとか計算力だとかに比べて、随分と曖昧な能力だと思う。漢字の読み書き以外は、テストでもしなければ評価ができない。一度見出された数学の定理は宇宙が終わるまで変わらないかもしれない(新しい定理がそれまでよりエレガントに示してくれるようになることはあるだろう)けど、語彙や文法は時代と共に明日にも変化していくから、ますます怪しいものに思えてくる。それでも学生時代の国語のテストを思い出すと、たまに納得はいかないものはあっても、概ね正解は一つに限られていて、考え尽くすと必ずそこに行き着いたような記憶がある。
 所詮、テストの話ではある。実生活はどうか。

 昨日、職場で日本語初級の中国人女子大生たちから、料金の支払いについて「マイヒト払いますか?」と聞かれた。3秒かかって理解した。「マイヒト=毎人=everyone」。「全員でその料金なのか、個別なのか?」と尋ねたかったのだろう。「毎人」が彼女の造語なのか、それとも中国語を無理やり日本語にしたのか気になって後で調べたところ、意味として通じないことはないが造語だった。中国人らしい発想ではある。
 毎日、毎週、毎月、毎年、毎回……毎○は時間の経過を伴う表現なので、毎人は成立しない。こういう規則性を肌で分かっていると、歴史の話をしながら「毎世紀」なんてちょっと面白い言い方もできる。日本語だとマイヒトは「各人」(または人毎)が当たるけれど、各地、各自、各社……各○は時間の経過を伴わず格差のない並列的、平面的な表現で、その中で各月だけが特殊に感じる。

 月なんだから時間の表現じゃないかと日本語学習者の外国人には言われそうだけど、「このカレンダーの各月の写真は世界遺産だ」のように、やはり時間の経過を伴わない。ここで、もしカレンダーの写真が四季折々のものだったとしたら、日本語に堪能な人は「各月」という言葉を使わず、「毎月」を使うかもしれない。たとえば、これが国語力というものなのだと思う。