世界一短い小説『ついのべ』 | nyaokのブログ

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 2、3年前からツイッターで小説(ツイッターノベルの略で『ついのべ』)を書いたり読んだりしています。
 ツイッターは短いメッセージ(140文字)しか書けなくて、ジャンル分けのためのタグを付けるともっと短くなってしまいます。小学校の国語の教科書にも載っている、ショートショートと言う数ページで終わる超短編小説のジャンルがありますが、それより遥かに短い131文字!
 例えばこんな感じです。まずはショートショートっぽく。


『閑古鳥の使い道』
#twnovel 店の経営が悪化してからもう随分経ったが、
今やこの収入もバカにならない。
今日も店先で閑古鳥が鳴く。業者は網を構えてにじり寄っていった。
一度金を受けとりながら聞いたことがある。
「この閑古鳥、何に使うんだ?」
「愛玩用ですよ。人間関係に嫌気がさした人たちに人気なんです」



 この短い文字数の中で物語を初めて完結させなければならないため、僕らは文字を削りに削ります。登場人物がいても固有名詞なんてつけてる余裕はないので彼とか彼女とか私とかで済ませてしまう。彼らの気持ちなんてほとんど読者の想像任せ。情景描写も必要最低限!
 季語はありませんが、普通の小説より読み手の力(想像力)を必要とするという意味では、俳句と似通ったものがあるかもしれません。

 ついのべを読んだことがある人は少ないんじゃないでしょうか。今回は僕が過去に書いたものを何作か挙げてみたいと思います。本当はついのべにはタイトルは付けないんですが、分かりやすくするために付けておきます(*^-^)
 あ、基本的についのべはゆっくりじっくり読んでくださいね!(^^)



 これもショートショートっぽく。

『虫歯の原因』
#twnovel 吸血鬼の牙の診断を終えると、若い歯科医は頷く。
「治療経過は順調です。もう痛み止めなしでも食事ができるでしょう」。
吸血鬼は興奮を抑えられず、身を乗り出す。
「先生、貴女で試していいかね?」
「虫歯になるのも無理ないわね…貴方が出会ってきた女ほど、私は甘くなくってよ」






 現代小説っぽいのも好き。

『太陽に届くころ』
#twnovel いつか少女の頃、父に肩車されると世界が変わって見えた。
何度も太陽に手を伸ばしたものだ。
大人になればまた出会う景色だと信じていたけれど、
母親似の私はチビのまま。
ふと肩車を、新聞に目を落とす白髪交じりの父に乞う。
父は笑う。「無茶言うな。今のお前じゃ太陽に届いちまう」






 ちょっとSF。

『デガン星人の変わり者』
#twnovel デガン星人は肉食で、
何千年か前までは地球人を捕食していたけど
今は向こうで家畜化しているらしい。
それに僕の友人は菜食家で、
知能があろうがなかろうが、植物型の生命体しか食べない。
「子供の頃はなんであんなもの食べてたのかと思うよ。おっと失礼」
彼はホントにいい奴なんだ。






 さらにSF。

『光龍』
#twnovel 夜空。
最初に小さな星が一つ瞬いたかのように見えると、
ほっそりと脈打ち、光の帯となって隣の星へ向かう。
一つ、また一つ灯りが消える。
生まれたての光龍が腹を空かせ、
銀河の星々を呑み込み始めたのだった。
天の川を游ぎくねらす巨躯の全長たるや幾億光年。
その美しさ。その偉容。






 もっとSF!

#twnovel 宇宙の果てに黄金の星が鎮座する。
公転一万日、金色の雨粒は金色の大海へ降りしきる。
その粒度。濃い蜜のようにゆるりと重たく、滑らかな自転。
夜は死の如き鈍色の静謐、昼は耀き滾る灼熱の対流。
百億年を経て遂に、この星に生命が誕生する。
目映き黄金の生命が。今、光の波間から。






 童話っぽく。

『問うたこと』
#twnovel 無邪気な子供の息吹きがストローを通して
作り出したシャボン玉。
彼はもう生まれたときから考えることを知っていた。
『なぜ、自分は生まれたのだろう?』
風にもてあそばれながら虹色の薄い身体で問うたこと。
やがて答えを出す間もなく、彼は消えた。






 ファンタジー。

『不完全な世界』
#twnovel 太古、己の生まれ落ちた世界に
居場所を見つけられなかった哀れな魔法使いが、
その強大な魔力で創り出そうとした新たな理想世界。
だが色も形も、想いさえも、
所詮不完全なものにしかならなかった。
あなたも彼女の遺した世界に迷い込んだことがあるはず。
そう、今夜はどんな夢を見る?






 神話っぽいもの。

『山の女神』
#twnovel 日暮れて、山の女神はゆったりと身を横たえた。
豊かな谷間からこぼれ落ちた髪は脈々と川を為す。
緑は芽吹く。
彼女は海を眺めていたが、
今は睫毛を露に濡らし静かに寝息を立てたまま。
うたた寝の間に星は流れ、鳥や虫や獣が行き交う。
果実は生る。艶やかな唇に、巡る季節の花が咲く。






 最後はツイッターでみんなが日曜の夜に
「明日は月曜日だ、仕事行きたくない~」
みたいなツイートをするのを見て。
 ちょっと読解力が要る131文字。



『マンデーの憂鬱』
#twnovel パーティではしゃいでた親友のサンデーさえ、
私を見れば溜め息。知ってる。
みんなが私を疎ましく思ってるって。
連休には掌を返すくせにね。
私は、私を愛してくれるあの人に髪を切ってもらいに行こう。
そして聞き厭きた言葉をかけてもらおう。
「マンデー、君のせいじゃないよ」って。







 初めて読む人の感想が気になりますね!
 挙げるときりがないのでこの辺で。
また気が向いたら他のもアップします(*^-^)ノ