こんにちは!
獣医師の佐藤ひろこです
 
わたしが獣医師になりたてのころ
ベテランの先生が
身体を触って
腎不全になっている。と
 
血液検査をしたら
案の定
腎臓の数値が高く
そこから治療が始まった
猫ちゃんがいました
 
その時、わたしは
触って病気が分かるの??
と驚きと感動でした
 
それ以降
極端に嫌がられない限りは
わんちゃんや猫ちゃんたちの
頭から足の先まで
しっかりと自分の手で触る
『触診』を心がけています
 
順序としては
まず、頭のてっぺんから始まり
耳の付け根を優しく回して触れます
耳にはリラックス効果があるので
「怖くないよ」というメッセージを伝えながら
耳周りをマッサージ
その過程で、耳の中をチェックします
 
その後、首や肩、胸部、背中、腰へと順に進みながら
筋肉の張りや皮膚の状態、できものの有無を確認
また、痛みがないか
可動域に問題がないかもチェックしています
 
次に足先をみて
爪の長さや足裏の毛
肉球の張りや関節の動きをみています
 
一通り見終わったら、最後は顔周りです
 
知らない人が急に顔を触るのは
恐怖だと思うので
この人怖くないよ〜と思ってもらえてから
目や口元など触ります
 
その中で今日は
自宅でもできる触診の1つ
『皮膚の伸び』についてお伝えします
 
皮膚の伸びやすさには重要な意味があるんです
 
皮膚の伸びからわかる3つのこと
 
1. 脱水やむくみの有無
 皮膚がどう伸びるか
体内の水分量を簡易的に確認することができます
 
2. 体のバランス
皮膚が均等に伸びるかどうかで
体の左右前後のバランスが取れているかをみます
 
3. 筋肉や関節の状態
皮膚の伸びにくさがある部分は
筋肉が張っていたり
関節に問題があったりする場合が多いのです
 
近年、ペットのマッサージが広まっており
リラクゼーションや癒しを
目的に受けている方も多いと思います
 
しかし、単なるリラクゼーションだけではなく
体のバランスや筋肉の状態を見極めることが重要!
 
首や肩周りに緊張が強く
触ると皮膚が硬く
横からみると
頭が下がっているようにみえる
ワンちゃんたち意外と多くて
 
そのコたちの特徴は
前足に負担がかかりすぎて肩が張り
ムキムキにみえるのに
いざ後ろ足をみると
筋肉が減っていて
ほそ〜い足 
背中が山の字に曲がっていることも。。。
 
 
通常、ワンちゃんたちは
体重の約60%を前足
40%を後ろ足にかけて歩行しています
 
しかし、最近は
膝蓋骨脱臼(パテラ)の問題を
抱えるワンちゃんが増えており
その影響で後ろ足をうまく使えず
前足に過剰な負担がかかっている子が多いです
 
さらに、フローリングや
アスファルトといった平坦な道での生活や
そもそも散歩に行かない生活環境が
後ろ足の筋力低下に拍車をかけているのです
 
わんちゃんたちの姿勢を
私たちが真似してみたらどうなるでしょう?
 
 四つん這いの状態で
膝が使いにくくなっていると想像してみてください
自然と前足に頼ることになりますが
これは人間で言えば
肩や手首に大きな負担がかかるのと同じ
 
実際、わんちゃんたちも
手首に痛みを感じている子が多く
前足を頻繁になめていることがその証拠です
 
アレルギーなどの原因もありますが
手首や足先に痛みやしびれが出ている
可能性も考えられます
 
他にも、
皮膚の伸びが教えてくれることとしては
 
皮膚は全身を覆っています
体の前側にばかり負担がかかると
前足や首の皮膚が前に引っ張られ
後ろ足の皮膚が突っ張ってしまいます
 
この状態では
後ろ足を大きく動かせず
歩幅が小さくなりがちです
歩くこと自体が難しくなると
筋肉が衰え、関節への負担が増加
 
これが進行すると
後ろ足の使いにくさが排泄にも影響し
便秘や膀胱炎などの問題を
引き起こす可能性もあるんですよ
 
まとめ
皮膚の伸び方から
身体のバランスや
健康状態を知ることができます
 
あなたの手で触ることによって
身体をほぐしてあげましょう
 
身体がほぐれると楽になりますし
健康を維持するためにも大切なケアです
 
全身をくまなく触って
何か違和感があればすぐに
獣医師に相談してくださいね