こんにちは
獣医師の佐藤ひろこです
 
前回のフィラリアの予防に引き続き
混合ワクチンについてお伝えしていきたいと思います
 
そもそもワクチンって
 
『注射の案内が来たから打ちにきました』
『ワクチンの中身?知らないなあ。』
『副反応??何それ?』
と思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか
 
わかります。
 
新型コロナであれだけ騒がれたから、
この仕事をしているから、
知っているだけで
ワクチンのことを深く考える機会など
日常生活ではないに等しいですから
 
さてさて本題に入っていきます
 
今回は
①混合ワクチンって何?
②接種できない場合はどうすればいい?
③何種のワクチンを選べばいいの?
の順でお話ししていきたいと思います
 
①混合ワクチンって何?
 
わんちゃんに
混合ワクチンを打つと
死亡率の高い病気を予防することができます
 
ワクチンとは
安全な状態になった病原体を
あえて体に入れることで
敵を知り、いざ本番になった時に
戦えるように準備しておく
(=免疫力をつけておく)
ために接種する注射です
 
 
犬の混合ワクチンはなんと11種類もありますが
 
一般的に多くの病院で使われるのは
・犬ジステンパー
・犬パルボウイルス感染症
・犬伝染性肝炎
・犬アデノウイルス2型感染症
・犬パラインフルエンザウイルス感染症
・犬コロナウイルス感染症
これら6種の混合ワクチンを基本に
 
オプション感覚で
・犬レプトスピラ感染症(2~5種類のタイプあり)
を加えた8~11種の混合ワクチンです
 
感染症の名前を羅列しましたが
簡単に言うと
 
致死率の高い
神経疾患・消化器疾患・呼吸器疾患から
 
もっと簡単に言うと
死に至るような
脳炎・激しい嘔吐と下痢・肺炎から
身を守る役割をしています
 
 
生後2~3ヶ月目から
ワクチンを打ち始めるわけですが
 
産まれたばかりの仔犬は
伝染病にかからないように
母犬から母乳を介して免疫を譲り受けています
 
ですが、2~3ヶ月もすると
母犬由来の免疫力は徐々に弱まっていきます
 
なので
ワクチンを打つことによって自身の抗体を作り
感染症から身を守る必要があるのです
 
仔犬のワクチンが完了したら
その後は定期的なワクチン接種が必要なわけですが
 
世界基準のワクチネーションガイドによると
コアワクチンに関しては
3年に1度のペースで良いと言われています
 
簡単に言うと
6種の混合ワクチンは3年に1回のペースで
打てばいいよ〜ということです
 
しかし、レプトスピラ感染症に関しては
3年ごとではなく毎年打つ必要があるので
注意が必要です
 
②接種できない場合は?
 
打ちたくても打てないと言う場合もありますよね?
高齢、病気、アレルギー持ちなど
また、ワクチンはできるだけ打たない方向でいきたい
と考えられる方もいらっしゃるかもしれません
 
もしその場合は
ワクチン抗体価を血液検査で測ることができます
ワクチン接種よりは少しお値段は高いですが
抗体を数値で確認できるので安心できます
 
③何種のワクチンを選べばいいの?
 
愛犬に6種か8種どちらがいいの?
と言う疑問が湧いてくるのではないでしょうか?
 
基本的に生活環境に合わせて考えます
レプトスピラ感染症は
ネズミなどの野生動物のオシッコから感染します
 
なので生活環境にネズミがいそうであれば
田んぼや山が近いとか
キャンプに行くよーなど
小型・大型犬にかかわらず
8種混合ワクチンを打つべきだと思います
 
私は1度だけ
レプトスピラ感染症に感染した犬を
見たことがありますが
 
レプトスピラ感染症は
人にもうつる(=動物由来感染症)なので
判定した時点で隔離になります
 
 
もう二度と会うことはできません
 
 
 
その時の状況は今でも覚えています
 
 
 
大好きな飼い主さんにも会えず
知らない場所で、一人ぼっちで弱って
そのコは最期を迎えました
 
 
混合ワクチンは任意なので
接種は自由です
 
ですが
 
もし大きな災害がきて
集団で避難生活になったら
犬たちも集団での避難生活になります
そこでワクチンを打ってなければ
感染する確率がぐっとあがります
 
防ぐことができる病気なら
予防するに越した事はないと思います