自然治癒力と運動学習ということ―障害の改善に向けて | WillLaboのブログ

WillLaboのブログ

WillLaboは、東京の両国にある、リハビリスタジオです。
運営しているのは、作業療法士の山田 稔です。
気軽に、ヒゲ先生とお呼び下さい。
靴専門の理学療法士中田 翔が「既成靴の調整」によって、戻りづらい身体を保つお手伝いも始めました。

治療院などの宣伝文句で『自然治癒力を高める』という言い方をするところは多いです。
自然治癒とは、例えば皮膚が損傷した場合(やけどとか切り傷とか)、皮膚は自然治癒します。医療では、この過程中に余計な感染や他の問題が起こらないように、皮膚を保護したり、切り傷が大きければ縫い付けたり時には皮膚移植なども行いますが、基本は身体の自然治癒に頼っています。
骨折など、骨の場合も自然治癒します。ギブスをはめたり、時には手術してプレート固定などを行いますが、それも、骨がいい状態で再生して、くっつくのを待つ間の手段です。

さて、これら人体の臓器の自然治癒に対して、運動とか行動、姿勢保持は自然治癒しません。
これらは、運動学習という人間の経験から成り立っているものだからです。

ということは、例えば変形性股関節症の方は変形性股関節という状態に長い時間慣れているおかげで、一度いい状態を経験したからといって、すぐには昔の状態に戻りません。

骨折や皮膚の損傷でも同じこと、臓器は自然回復しますが、骨折や皮膚損傷が治癒する間の時間は、一時的にせよ異常な状態に置かれるために、その状況に慣れてしまいます。

この、異常であれ、正常であれ、今、この状況にいる、ことに慣れる人間の性質を『適応』と呼んでいます。適応能力は、時として異常性をそのまま受け入れてしまい、私たちの言い方で、誤学習という状況を生んでしまいます。

誤学習が起こらないように、関節や筋肉の状態を出来るだけ正常に整えつつ、『楽に歩ける』とか『手が自由に動く』感覚を練習するのが、リハビリテーションです。ですから、リハビリテーションの基本概念はいい状態での運動を経験していただきこの状態を学習し、記憶することにあるといっていいでしょう。

というわけで、WillLaboは、このリハビリテーションを行っているのです。痛みを解消したり、関節の状態を整えることはこの仕事の内のほんの一部で、多くの部分は対象の方の運動や行動の質が変わり、それを持続させることにあります。
ですから、自主トレーニングメニューを皆さんに提供して、出来るだけいい状態での感覚―運動経験をしていただきたいと思っているわけです。

手技が重要なのではなく、どのようにしたらいい感覚が提供できるか、日々考察を深める、WillLaboでした。