次に、組織の活性化の為に、ボトルネックの原因となっているボスを排除し、逆に優秀なのに、扱いにくいために活用できていない人を、その部下を扱える、より優秀な上司の下に異動させるなど、異例の4月人事を決定しました。

 

 会社は、潜在的に高い能力があったので、計画通りに成長軌道に乗り、来期初めには祝賀会もできるなと考えていた3月11日、あの東日本大震災が起きたのです。

 

 丁度、スタッフ事務所の横を歩いていた時に、大きな揺れが来ました。直ぐに、大声で机の下に避難と声を出し、私も近くの机の下に頭を入れましたが、建物は丈夫で、これなら潰れないと直感したのを覚えています。

 

 揺れが治まり、全員、外の広場に避難し点呼、全員無事避難できたとの報告を受けました。

いつもの避難訓練通りでした。

 

 次に、保全要員を建物内の安全確認に入らせ、ガス漏れの無いことを確認させました。安全を確認したとの連絡が入りましたので、全員職場に戻るように指示し、部長以上による緊急対策室を設置しました。

 

 「社長、明日のゴルフコンペは中止ですか」「中止だ」など、まだ初めは、余裕がありましたが、工場2階の生産設備が全滅していることが分かってきて、深刻な状況となりました。

 

 停電については、設備冷却の目的の自家発電機6基が、ものすごい音を出して、自動稼働していますが、生産をするための電力にはなりません。これで成長戦略など全て水の泡かと思ったのですが、部長達を集めてみると、その中に妙に元気な部長がいるのです。逆に元気付けられ、社長の私こそ元気に振舞わないと駄目なのだと気付かされました。第7話に続く