朝から緊張の面持ちでスーツに腕を通し、気合を入れてシックなネイビーのバーバリーのネクタイを身につける。

髭を入念に剃って、身だしなみは大丈夫。
やはり都会に出るからビシッとジャケットを決めて行かないと。

駅までの道中、やはりスーツで自転車は不恰好だ。新しくできた駅近の駐輪場に愛車を止め、鍵をかける。

さあ出撃だ。


向かう先は東洋大京北高校

初めての相手に少し緊張してしまう。
「雰囲気で負けてはダメ、肩肘張って絶対ジャケットは脱がない!」
そう決めて電車に乗り込んだ。


今日は今年度最初の私立高校説明会への参加。久々の出動となる。

程なくして池袋に着き、丸ノ内線のホームに向かう。そこから二駅「茗荷谷駅」に到着だ。

ここは日本の教育を支えてきた学校が点在する。
お茶の水大学、筑波大学、少し離れて中央大学etc.


目的地までは歩いて15分程度とのこと。
日差しは厳しいがジャケットは脱がない。

しばらく進むと200-300mはある桜並木の通り、春先はさぞかし美しいんだろうとついつい口角が上がってしまう。


通りを抜け裏路地に入るとそこには、東京大学が運営する「小石川植物園」。

非常に興味をそそられるが、会の開始まで10分を切っている。急がねば。

植物園を巻き込むように道なりに坂を登っていくとそこに目的の東洋大京北高校が。
ついにジャケットを着たまま到着することができた。


もともと都内屈指のスポーツ校で、インターハイへの出場歴のある部活も複数。

それが4年前から東洋大の運営の元、学校変革を行った。

変革元年の1期生が卒業したとのことで、どれどれと話を聞いてみた。

やはり東洋大の冠がつくことは影響力が大きく、初年度はそれまでにもみたことのないような人数の受験生を迎えたが、その後は運営スキルの問題なのか募集は紆余曲折。

中学校も併設する学校なので、そこの影響もあるのか、定員を減らしてみたり、基準をあげてみたり、やる度にうまくいかない事象が出てきたようだ。

ただ初年度程の勢いではないが、徐々に募集も安定してきて迎えた1期生の卒業。

東洋大学への推薦入学者が100名ちょっと、他大学への進学が120名ほどで、国立7名、早慶上理10名程度、MARCHへも50名弱を送り出す結果となった。

先生方はちょっとした安堵とともに、より上を目指すと息巻いておられた。

もう少し詳しく聞きたいと思い、広報部長の先生と会の後お話しさせていただいたのだが、東洋大学の推薦に関して確かにお得感はあるかもしれない。

中受の場合、首都圏模試で偏差値50程度、高校受験でも内申20弱の偏差値60程度なので、所沢高校や川越南と同じ層で東洋大が確保できるのはアリだ。

「もっと頑張れば上に行けるのでは?」
そんな疑問が生まれそうだが、そこに関しても付属校には珍しい仕組みがある。

それは、高校生たちには全員が他大受験を考えたクラス編成をとらせ、3年生の9月までは皆大学受験に向けて走っていく。
※付属はもっと前に推薦か他大受験かを決めるのがスタンダード。

そして9月に進路を決めていくのだが、東洋大学の人気学部である国際観光学部等に希望者が集まっていき、その学部の推薦枠だけが埋まり、去年なら90枠ほどを余す。

会の中で、「みんなが東洋大学以上に進学することが理想」とおっしゃっていたので担当の先生に「東洋大学に行きたいと思っている受験生でもあいますか?」と聞いてみたところ、「東洋大のつもりが明治大学っていうのが理想です。」とのこと。

そんなにうまくいくかは分からないが、現にそうなっている卒業生がたくさんいるので、あながち悪くもないのかもしれない。

また、もともと部活動の強い学校なので、セレクションや推薦があるのかと思いきや、今は廃止したとのこと。

「顧問は苦労しているようだ」とのことだが、お金で釣るような生徒集めはしたくないという校長先生の強い意志によるものとのこと。
よって特待生の制度もない。


正直、学校に行ってみるまでは「部活いっぱいやって、東洋大に推薦で進学」ってイメージだったが、そういうわけではなさそうで、冨田的には悪くない感触だった。

ただ、それほど遠いわけでもないのに所沢からの通学者が少ないのが気になる。広報の打ち方次第では埼玉西部地区の生徒も集まりそうだ。


さてさて広報部長さんに話を聞いていたら会場から誰もいなくなってしまった。

アンケートを回収する方も見当たらず、職員室まで持っていった。大したこともかけていなかったんだけど…笑


帰りはおしゃれなカフェでひと休みでもと思いながら、いつのまにかホーム所沢に帰ってきてしまった。

さあ愛車に乗って家に向かうとしよう。


家に着くまでジャケットは脱がなかったのはいうまでもない。


東洋大京北高校の詳細な情報が必要な生徒・保護者の方がいましたら、冨田までお声がけくださいませ!