もう10年以上前になります、埼玉県を代表する私立高校となっている開智高校(岩槻)に初めて訪れた時のことです。
あの頃はなぜか県内都内問わず校舎を建て替えたり、リフォームしたりする私立が多かった中で、開智高校はちょっと言葉に詰まるくらい古い建物でした。
「…なんと言いますか、私立っぽくないと言いますか、公立みたいな年季の入った校舎ですね」と私が言うと、
以後、数年に渡って懇意にさせていただいた開智高校のある先生は笑いながら
「いやいや、公立以下ですよ。もはやプレハブ小屋です」とおっしゃっるくらいでした。
しばらく私が訪問することはなくなっていますので、今は違うかもしれません。
ただ当時、その先生が先の言に続けておっしゃっていたことが忘れられません。
「校舎が生徒を育てるわけじゃないですからね」
校舎は生徒を魅力する一つの要因だけれど、校舎の綺麗さだけで選ぶような生徒は募集していない。教育内容、そして生徒の学力の成長を表す進路を見て選ぶ生徒を募集している。だから、教育内容や実際に生徒を育てる教員を大切しているとおっしゃっていました。
果たして校舎が綺麗であることと、指導力があることに相関関係はあるのか。
費用は有限ですから、トレードオフの関係です。あるところに費用をかける、それは即ち、他のところに当てない or 削るということです。
どこに費用をかけているのか。そしてそれは、どれほどの正の効果を生み出しているのか。
それ以降、気にするようになった私学を見る視点の一つです。