できるようになる方法。
うまくいく方法。

これはおそらくずーっと言われてきたことで、かつ、これからもうずーっと変わらないことなのでしょう。

にもかかわらず、勉強のノウハウ本は毎年何十冊も出版されている。

私もたまに本屋でパラパラめくってみますが、書かれていることはずーっと変わってません。

つまり勉強ができるようになる方法なんてものは、一つか二つか、そのくらいしかなくて、そしてその方法はもう世間で周知のことばかりなんです。

にもかかわらず、こんな本が毎年何冊も出版されているってことは、わかっていても、その道を歩むことができない人がいかに多いかということなんでしょう。

わかっちゃいるけど、できない。
楽してできる方法はないか。
今からでもチャチャっとできる方法はないか。

そういう人たちの心の隙間にスルッと入っていって、うまく騙くらかして儲けよう。

そんな人たちが、勉強の本質はそのままに、かつ、あたかも簡単にできるかのように、表現の仕方だけを巧みに変えて、ずーっと出版し続けているんでしょう。

かくいう自分も高校生の頃…

恥ずかしながら英単語を覚えることをサボってしまって、あっという間に英文が読めなくなってしまったことがあります。

先生や友人に相談しても、とにかく言われるのは「語彙力が足りない。」「語彙を増やすべき」。

わかっちゃいるけど、覚えなきゃならない英単語の数があまりにも多すぎる、どうにか楽してできる方法はないかと、本屋で探しまくったことがあります。

あの頃、もしネットがあれば、そんなことあるはずないだろ、ボケ!ってことがすぐにわかったものですが、90年代、もっとも信頼できる情報といえば本一択でしたから、背表紙に書かれた「中学レベルの語彙力でセンター英語は解ける」だとか、「センター英語は1000語で解ける」みたいなワードになんだ、楽な方法があるんじゃない!」なんて心躍らせ、買っては読みまくったものです。

…あの時間、マジで返して欲しい笑い泣き

語彙なくして、言語が読めるわけないじゃん。
っていうか、言語なんてむしろ語彙がほぼすべてじゃんか。

つまるところ確実にうまくいく「王道」はみんなわかりきっていて、でも、その「王道」をやれない。やりたくない。

だからどうしても先延ばしになっていって、期限となる入試日はどんどん減っていって、やむなくヤマをはってダメ元で賭けにでるしかなくなる。

始末が悪いことに、その賭けに運良くたまたま勝てる人が何割いるかわからないけれど、何割かはいて、その人の声ばかりが甘言として知れ渡っていく…。

他の人がコツコツ積み上げていっているのに、それをしないで楽に進める近道なんてあるはずない。あったらみんなやってる。広まってる。

他の人がコツコツ積み上げていっているのに、自分だけが楽にうまくいく方法を見つけられると思ってしまう思考は、気持ちわかるけれど、変えていかないと大人になって騙されちゃうよ。