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追憶の骨 (bones)

音楽や映像だけでは残せない、あの時の僕たち。




いつものコンビニ、買ったばかりのタバコの封を開け、店脇の喫煙所で3~4時間ぶりの一服をしていた僕は、これから行くスーパーで何を買おうか…、そんなことを考えていた。

これは数日前の事、肌寒さを感じ、少し早めに喫煙を切り上げ、買い物に向かう。コンビニの敷地を出たところで、背後から声がした。

「ちょっとすいません、よろしいですか?」

振り返ると2人の警察官が立っていた。

「はい? なんですか?」、と僕。そういえば…、コンビニの駐車場にパトカーが入ってきてた事を思い出す。

「職務質問させていただきます、よろしいですか?」

… はぁぁぁぁぁ???

真っ昼間のコンビニ、駅から少し離れたその通りは、人もまばらだ。あまりに意味不明なので何かを言い返そうかと思ったが、彼らの目はマジだ。態度こそ丁重さを装っているが、何を考えているかわからない。

「いいですけど、何か?」と僕。

「これから、どちらにお出かけですか?」

僕は自分が近所に住んでいて、コンビニで一服してから、スーパーに買い物に行くことを伝える。

「何か、身分証のようなものはありますか?」

… はぁぁぁぁぁ???

「そんなに、怪しいですか、僕?」

「いえいえ、皆さんにお聞きしてるだけですから…」

そう言う警察官の横を、自転車に乗った女性が走り抜けていく。

職務質問は任意だけど、断ると、公務執行妨害で逮捕されるケースが増えていて、最近問題になっているという、何かの記事を思い出す。僕は財布から免許証を取り出し、ひとりの警察官に差し出すと、「照会させてくださいね」と言いながら、彼はパトカーに向かっていった。



「ボーンズさんって、やっぱり怪しい人なの…?」

これを読んでる方は、そう思われるかもしれない。

確かにこの時、僕の服装は上下セットの黒いダボダボジャージ、少し色のついたメガネに花粉症予防のマスク…、まぁ、怪しいと言えば、怪しいかもしれない。

しかし、僕はこの街に何年も住んでいて、マスクは別として、近所に出かける時は、だいたいこんな格好をしている。駅近くの喫煙所は交番からよく見えるところにあって、買い物に行くたび、僕はそこを利用しているが、当然、今までこんなことはなかった。

警察の対応がシビアになった…、そうだとしか思えない。



「何なら、持ってるもの、みんな見せましょうか?」

僕は敢えて苛立ってるフリをした。だって、そうだろう、僕が何か不審な行動をしてるならともかく、服装だけで職務質問なんてあっていいのか?これは権力の濫用じゃないのか?そんな抵抗感を示したかった。

「お手数かけました、確認が取れました。」

パトカーから戻ってきた警察官が免許証を差し出し、僕は解放された。時間にして5分程度の事だった。



なぜ警察の対応がシビアになったのか?

最初に思い出したのは、ピーター・バラカン氏が憲法9条のTシャツを着てて、突然、警察官から職務質問を受けた…、という話だった。

最近、反安倍的なデモやイベントに警察官がゴッソリ動員されて、睨みを利かせているという。伊勢・志摩サミットを口実に、何かあれば取り締まろうという態度が見え見え、言論弾圧も甚だしい。

しかし、これは今回の僕の件とは全く関係がない。


次に思い出したのは、反社会勢力同士の抗争事件だ。

僕の住んでいる街にもその手の方々がいて、警察が警戒を強めているのかもしれない。これなら十分有りそうな話だけど、それにしても、あまりにキャラが違うだろ~。

他にも、例えば、僕が知らないだけで、近所で何かの事件があって、捜査を強化しているのか…、とか、年度末なので、警察官の成績のために「職務質問件数」を上げたかったのか、とか…。

そんな事を考えたが、それでも不愉快感はぬぐえない。



出かけるたびに、こんな目に遭うなんて冗談じゃない。

テキトーな格好でおちおち近所も歩けないなんて、まったくイヤな時代になったものだ。何かが変わりつつある…、そんな気がしてならない。

これが戦時中だったら、僕は警察署に連行されて、再起不能になるまでボコボコニされてたんだろうな…、そんな一端が今でも垣間見える。この国の本質は変わっていない。

黒のダボダボジャージは冬用なので、もうすぐ出番は終わる。

もう数年着たので、そろそろ買い替えようかと思っていたところだ。

今度は真っ白にしちゃおうかな。

龍の刺繍入れちゃうぞ~。(笑)


<おわり>