<①のつづき>
旦那は怒っているようには思えなかった。
それは、電話口だけのことかもしれないが…。
… だいたい、なぜ今頃になって…??
そう言えるほど程の年月は過ぎている。
それは僕にとっても…、ということだ。
§
簡単な話をする。
彼女は僕の事業所にパート事務員として入社した。
「1年したら社員にしてください!」
「どうして1年なの?」
「下の息子が高校に行ったら、お弁当がなくなるからです。」
そんな女だった。
§
結婚前、大手商社に長く努めた彼女の仕事ぶりはすぐに評価され、
彼女は希望通り、1年後には正社員になっていた。
事業所は拡大を続け、僕と彼女は多忙を極めた。
毎日の残業、度重なる休日出勤、新しい事業、発生する問題…。
現場を抱える事業所で、事務所の正社員は僕と彼女の二人だけだ。
僕と彼女は多くの難題を二人で解決し、
その成果を二人で喜び合っていた。
「阿吽の呼吸」ができるころ、
僕たちは恋に落ちた。
やがて、上層部の勝手な事情で僕に理不尽な異動命令が下り、
僕と彼女の行動は少しだけエスカレートした。
彼女はその行動を旦那に追及され、
僕の異動と同時に会社を辞めた。
<③につづく>
※ 彼女との話はまた別の機会に、ちゃんとした形で書きたいと思っている。