「お兄ちゃん大事なものが逃げちゃうかもよ~」
聞いたことある声が、後ろから聞こえてきた。
翔さんの妹だ。
ちょっと甲高い声は、酒が入っている分さらに店内に響いていた。
いや、彼女の声は、きっとこんなにざわついている中でも、聞き分けられる。
翔さんが自慢している妹。
翔さんの周りにいつもくっついていた。
翔さんと4つ違うから、俺より一つしか違わないんだよね。
報道関係で体張っていて、ちっこいのに、よく頑張っているって翔さんも言っていたっけな。
台風の中、中継しているのを観たことあるけど、
傘で顔が隠れているって突っ込みいれたこともあるっけ。
最近は翔さんの彼女さんと3人でいるのをよく見るけど・・・・
「ニノ~。楽しくなーい。
どっか行こ?」
はぁ・・
俺。なんで好きでもない女と酒飲んでんだろ。
「ごめん。帰ってくれる?俺、やっぱ君と付き合うつもりない」
はっきり言ったほうが彼女の為。
怒って帰った彼女を確認して、
俺は、翔さんの妹のもとへ歩み寄ったんだ・・・