批判の矛先? | ヤドリギ金子のブログ

批判の矛先?

 足元の権力へと、つまり日本政府へ、外務省へ、岸田某へ、日本国民であってしまう自らへ、激しい直接的な批判の刃を向けないで、何がアクションなのだろうか? まあ、福島原発事故に関してはもうほぼシカト同然だが・・・。辺野古についても音無しの構えだし。いったいどこにお得意の「アクチュアリティー」があるのか?  

「世界の各地で「ジュノサイドを止めよ」と叫んでいる人びとは、日本社会のマジョリティが「植民地主義者」であることを見透かしている。植民地支配責任と向き合うのを避けてきたこの国では、人種主義的で排外主義的な「殺意」が伏流水のように流れ続けている。いままさに無差別殺戮を進めている国家の外相と日本国の外相が笑顔で握手する姿は、この滔々たる伏流水が地表にあらわれた露頭のひとつに過ぎない。

自分たちの手もまた血で汚れている、そうであればこそ、血塗られた手と手の握手をなんとか降りほどかなくてはならない。そうした行動につながることを願いながら、台湾植民地支配への遡行を試み、「植民地主義者」の血塗られた手を見つめ直す。」「植民地主義者とはだれなのか?それはわたしであり、あなたである。だが、街頭でイスラエルによるジェノサイドとアパルトヘイトに反対する声を挙げる、あるいは台湾植民地支配責任を問う行動に参加する可能性は常に開かれている。「お前たちも植民地主義者だろ」という問いかけは、「人道に対する罪」という普遍的原理に基づいてあらゆる植民地主義を克服する試みへの呼びかけでもある。」(駒込武「植民地主義者とは誰か」『世界』一月号)

 

「(天皇巡幸に同行した記者である)岸田吟香は決して東北を一様の空間としては描いていませんが、総じて、東北民衆の生活を低く評価し、とくに直前の台湾経験をもとに、「蕃民」イメージを随所に出している点はきわめて重要な点です。岸田の「東北巡幸記」は『東京日日新聞』および大阪の『浪花新聞』に掲載され、『奥羽御巡幸明細日誌』のベースにもなって、全国に普及しました。この意味は重いでしょう。東北民衆が武力によって制圧(台湾出兵)された台湾民衆と重なってイメージされただけではありません。台湾民衆は日本国内の東北差別の延長線上に置かれることで、さらなる被差別性を付与されたのです。近代日本における東アジア差別と東北差別の関係性・連続性をみすえなければなりません。」(川西英通『東北―つくられた異境』下線筆者)