世界の端っこで | ヤドリギ金子のブログ

世界の端っこで

世界の端っこで
周到な治癒が
なでつけ
いたぶる
関心という
そつのない無差別に
賢く垢抜けた理解を示し
決して腐敗することのない
弁舌を憎悪への担保として
腹の底深く沈め
饒舌に嘘をつく
物わかりのよいものたちを
その眼光で黙り込ませ
君の仄暗い孤独を
完成に向かわせよ
満開の山茶花が
夕日に溶け込んでいく
静寂がひきいる
重さに額づく
胸を引き裂くような
深い傷をあたえるほどの
沈黙でなければ、
君の眼差しは生育しない
とぼとぼ細い尾根をゆき
ときどきは立ち止まり
いくつもの星を見つめ
朝が来るまで
なんとか彷徨い続け
眼差しのなかに編み込もうとして
一億二千万の加害を
数えるように
星の数を数えても
狂ったように啼く
梟の声は数えるな
被害ではない
残念だが、
獣道で内向することは
ことごとく加害なのだ
現在を亡くして
父をやみくもに罵った
少年期のあの時のように
波間を転がるように
酔いつぶれる森の中では
海の鱗の記憶がまぶしい

切れ味鋭い鉞を間において
できるかぎり接近し
やぶにらんで
震える舌を
刃先に匍わせ
息を吐きかける
そのひとそよぎが
言葉によって隠されると
(彼の製造するコトバの影で凍えよ)
凍り付くブナの皮膚のように
君は剥き出しになる
清潔な庇護者として
朝を待ちたいのなら
星を編み込むように
岩陰でひたすらひっそりとせよ!
「・・・やがて 
  君の身のまわりには
       霰が降る」