山種美術館
山種美術館は、ペットを飼いたくて仕方がない下の子を連れて行こうと思っていたのに残念!
展覧会前のランチは、上野駅構内にあるレカンの支店で。
これが大正解で、昔の駅の貴賓室を改装したお部屋なので、駅の中とは思えない落ち着いた空間。
でも駅の中なので、この猛暑の中、外をうろうろせずに済むのが何より助かる!
小さなお店なので、予約なしの方は入店できず、時間制限もありますが、それでもゆっくりできました。
そして久々(何十年ぶり?)の東博へ。
今回の会場は表慶館。
この建物は普段は非公開なので、中に入れるだけでも、展覧会に行く価値があります。
大正天皇のご成婚を記念して建てられた建造物で、明治末期の貴重な西洋風建築です。
エントランスホールには、澁谷翔さんの日本五十空景という、全国各地の地方紙にその日の空を表現した作品が。
右手から、カルティエのジュエリー作品がどう東洋美術の影響を受けているかの展示を見つつ、左手のカルティエ財団が助成している日本人現代アーティストの展示へと移り変わっていきます。
展示台に畳を利用していたり、和紙が背面に貼られていたり、木造だったり、展示ケースにも和の意匠が取り込まれていて。
ケース内のライティングも美しく、細かく計算されていて、凝った展示デザインにカルティエ財団の財力を感じさせます
展示内容よりも先に展示デザインに感嘆していた友人が、
「でも畳の上に直接ケースが乗ってるのって、日本人としては土足で畳を踏んでいるような違和感があるよね」
って言って、私もまさに同じことを考えていたので、昭和の日本人の感覚がお互いに通じ合うことを再確認
展示ケースの鋭利(に見える)ガラスの縁が畳にそのまま乗っているのを見て、「畳に跡がつきそうだな」って思いながら、少し引っかかるものを感じていたんですよね。
展示物にも「東洋の意匠を模しながらも、なぜかどこかが違う」感を感じるのですが、やはり東洋美術って、その内に秘められた精神性も大きな意味を持つ、哲学的な芸術なんだなって再確認。
杉本博司さんの「春日大社藤棚図屏風」が印象的なお部屋では、藤の意匠のブローチも展示されているんですが、「そうじゃない」感がすごいんです。
そんな勝手な感想を抱きながら、この空間でこの作品を見られるだけでも、入館料の価値がある
階段にも絵画とプロジェクションで表現した束芋さんの作品が投影されていたり、凝っています。
横尾忠則さんの日本人アーティストのポートレート作品も楽しかった。
残り半分強はカルティエ財団が助成する作家の現代アート作品。
海外のアーティストで知らない方を発見したり、展示量は少ないですが、楽しい展示内容。
杉本博司さんの数理模型も。
この空間で現代アートが鑑賞できるのは最高です(現代アート部分は人も少ないので、ゆっくり見られます)。
そして、松井えり菜さんの作品を見て、一見奇抜に見える作風でも、やっぱりきちんと美術を勉強した方の安定感はすごいなと、その作品のクオリティの高さにも感銘を受けました。
名作「エビチリ大好き」を生で見られて嬉しい
7月28日まで開催していますので、建物を見学するだけでも、ぜひおすすめします。