年度末(6月末)が近づくにつれ、どんどん忙しくなるこの時期。
でも、そんなバタバタの合間にも、しっかりと遊ぶ時間も取って。
まずは、毎年の恒例行事となってきたグリゴリー・ソコロフ氏のコンサート🎹
こぢんまりと落ち着いた店内
ちゃんと開演時間を知らせる案内板も併設(右上)。この扉の先が、もうコンサートホールのロビーに続く階段です。
前菜の鶏肉のコロッケ
これ、中がまさにクリームコロッケで、本当に美味しかった
メインも半量で頼めるので、デザートまで無理なく食べられました
ヒレステーキ、アスパラ、さつまいも
デザートはチョコレートとヘーゼルナッツのアイス・クープ。
私たちが最年少じゃない?ってくらい年齢層も高めでしたが、お一人で新聞を読みながらお食事を楽しまれている優雅な男性もいらしたり、なんか文化的な雰囲気〜
おしゃべりに夢中になっていたら、開演しそうになってしまっていて(笑)、慌ててコンサートホールに移動。
驚いたことに、先ほど写真に載せた扉の先を出ると、すでにチケットコントロールも終わっている、大ホールに続く階段の踊り場に出ます
ということは、このレストランから入れば、チケット無しで大ホールに入場できるってこと?
そんなおおらかなところにも、なんだか文化度の高さを感じます(笑)
友人が取ってくれた座席(バルコン(2階席)最前列)が素晴らしくて、音の響きもとにかく良くて、視界に近くの人が入らないのでピアノと自分の世界に没入できる
やっぱり特に前半のバッハのクラヴィア・オルガン曲が素晴らしくて、ソコロフ氏の静謐なストイックさと高い精神性が伝わってくるような演奏で、聴いているうちにまるで祈りを捧げているような気持ちになって、気がついたら涙が溢れてきてしまった……!
今回は自分が泣くほど感動するとは全く思っていなかったので、なんの準備もしておらず(泣くかも?って思う時は、最初からティッシュとハンカチを握りしめておく)、お化粧も崩したくなかったから必死で耐えたけど、自分の意思とは関係なく、流れてきてしまう涙に焦る
私のお隣の席は、ガチファンと思われる小さい男の子連れの若いパパで、ソコロフ氏のLPレコードを膝に乗せて聴いている人。
小さい男の子も、きっとピアノを習っているのだと思いますが、時折ピアノを弾くように手を動かしながら真剣に聴いている。
このガチファンパパが、周りからちょっとでも物音がすると、そちらのほうにキッ!とした視線を向けるので、怖くてとても身動きできないんです
そうだよね。こんな高額な席を子どもの分と2席も取るような人だから、そりゃ真剣だよね。
そんな事情もあって、身動きせずに限界まで耐えに耐えていたのですが、(汚い話で申し訳ないのですが)ついに鼻水まで流れてしまい、これは拭わないわけにはいかず、バッグからそっとハンカチを取り出す……。
やっぱりキッ!と私の手元を見てきたガチファンパパでしたが、私が取り出したのがハンカチだとわかると、なんだかふっと彼の圧が緩んだように感じられました。
(演奏に感動しての行為だから、許された感じがした笑)
本当はティッシュを出したかったけど、とてもそこまでガサガサする勇気は出ませんでした
そんなわけで、私の中でハイライトだったとも言える前半のプログラム。
後半は、ハンカチとティッシュも用意して万全で臨みましたが、やはりマズルカ・パートがどうしても楽しめず、なんでかなぁとずっと自問自答していたので、泣かずに済みました。
そしてソコロフ氏おなじみの、たっぷりのアンコール。
私は全くピアノ曲の素養がないので、いつもなんの曲か分からずに聴くのですが、やっぱりパーセルとバッハだけはすぐにわかって。
やっぱりバロックが好きだなぁと再認識。
文化的な空間で、崇高で美しい音楽を楽しんで、すっかり魂が浄化されたような気分になりました
文化的と言えば、休憩時に一番混み合うフォワイエのビュッフェカウンターに並んでいたのですが、別のスタッフの窓口のほうが空いてるなって気がついて。
私が並んでいた列を抜けてパッとそちらに移動したら、私の後ろの人たちも何人かついて来た
これも私の普段のあるあるなんですが、並んでいる時にギューギューに詰めるのは前の人に失礼だという思いがあるので、いつも気持ちほんの少しだけ空間を開けるんです。
でもそうすると、なんとなーくその空間のあたりにスーッと横から並び出して、そのうちにしれっとそこに入っちゃう人もいるんですよね。
でもそこはさすがコンツェルトハウス
スーパーとかパン屋さんだと、そのまま入られちゃうことの方が多いんですが(私も争わず入れてあげる)、今回はそこに入って来た人の順番が来そうになったら、その方が「あなた、私より先だったわよね!」って、私に順番を譲ろうとしてくれたんです
私はもう最初から譲る気持ちでいたので、「いえいえ、どうぞお先に!」って何度も言ったのですが、「それは困るわ! あなたが先だったんだから、先に注文してくれないと!」と言ってくださる。
ウィーンの劇場の混雑するビュッフェを経験された方ならお分かりになると思うんですが、パン屋さんやお肉屋さんと同じく、カウンター前にばーっと広がって待つことも多くて、注文できるのは圧の強い者順みたいになることも多いんです。
それなのにこうして譲ってくださって、やっぱり文化レベルが高い!って、再び感動
素敵な空間で文化的な時間を過ごして、魂が浄化されたような一夜でした