親知らずの抜歯手術後2日間は、けっこうな熱も出て、すっかり寝込んでいました。


痛み止めを飲めば熱も下がりますが、切れた時が辛い!


これは本当に20代の時にやっておくべき手術だったな〜って、しみじみ思いました。


(若い時の方が回復も早いし、顎の骨が柔らかいから抜きやすいみたいです)


仕事から帰ってきた夫は、寝込む私を見て「UKちゃん、カワイソウ〜」って言いつつ、ジョギングウェアに着替えて、さっさとランニングに出かけて行きました真顔


さて、そんなわけで寝込む以外にやれることがなかったので、ちょうど体調を崩して家にいた上の子と一緒に、アカデミー賞5部門ノミネートの話題作「アメリカン・フィクション」を見てみました。




この作品、日本では劇場公開はされずに、Amazonでの独占配信のみ。


親も兄弟もみんな医者で、自身もハーバード卒の作家で大学教授の主人公。


そんなインテリ&エリートの彼が、知的な純文学を書いてもあまり売れない。


純文学なのに、黒人だというだけで、作品がアフリカ系アメリカ人研究の棚に置かれたり。


そんな中、ブックフェアで黒人女性作家の作品が大ヒットしてるのを目の当たりにして。


この作家も大卒で一流出版社勤めのエリートなのに、書いてる作品は「ゲットーで生きる」。


(人々が思う)ゲットー生活のリアルを、黒人独特の文体(間違いだらけの文法)で描いて、大ウケしてる。


でも実際、知的エリートな主人公がいくら「人種なんて関係ない」って言っても、街に出ればタクシーが止まってくれない現実もあって。


過度なポリコレ(差別表現を正す風潮)で職を失いかけ、さまざまな事情からお金も必要になってくる。


そんな現状に苛立った主人公が、出版業界に一泡吹かせるためだけに、「黒人社会のリアル」風ギャング小説を別のペンネームで書いてみたことが、物語の始まり。


そうしたら、それがあれよあれよと大金で出版オファーが来たり、映画化が決まったり、挙句には流れで主人公(作者)も実際にお尋ね者のギャングということになってしまって……というお話。


エリートなのに、戸惑いながらギャングを演じる主人公が面白い爆笑


黒人が、白人社会が求める「黒人らしさ」に合わせるという皮肉。


白人が推進する「多様性」も、結局、ある種の偏見じゃないかという問題提起。


理想はどうあれ、マーケットのニーズ(=マジョリティのニーズ)に合わせないと生き残れないという商業的なジレンマ。


このテーマだけでも十分風刺が効いていて面白い作品なんですが、そこに家族の問題も絡んできて、コメディだけでは終わらない深みもあります。


映像も音楽もスタイリッシュだし、ストーリー展開も素晴らしくて、なんでこの作品が劇場公開されなかったのか、本当に疑問。


中年の心に刺さるテーマの作品ではあるのですが、ティーンの上の子も面白かったと言っていました。


(ちなみにこちらのレーティングでは18禁になっていますが、言葉に乱暴な部分があるだけで、我が家はティーンと見ても別に問題はないと思いました。ただ、内容的に高校生くらいじゃないと面白くないかも)


Amazonプライム会員でしたら無料で見られますので、とってもおすすめです。


ドイツのアマゾンでは、ドイツ語タイトルのAmerikanische Fiktionになっていますが、英語でも見られます。