週末は、下の子を連れて、Volksoper(フォルクスオーパーというオペラ座)の子供向けの音楽劇、『ヌレエフの犬』の世界初演を観てきました。




8歳以上からだし、犬の話だし、下の子にちょうどいいかなと思って。


かなり前にこの新作が上演されることを知って、下の子と行こうかなと思いつつ、まだ詳しい情報も出てない段階だったので、その時はそのままにしていて。


で、イースターにスイスの本屋さんにフラッと入った時に、この絵本が目にとまって。



ミヒャエル・ゾーヴァがイラストを添えている原作があるんだ〜!(そんなことも知らなかった)


ちなみに、これ、日本語の副題は「憧れの力」になっていますが、私はこれはこの作品の大切なテーマからは微妙に外れているというか、大事なのはそこじゃない感がある気がしています。


(この作品で、Sehensuchtを憧れと訳しちゃうのは、ちょっと痒いところに手が届いていない感があるような?)


まあ、それはともかく、これはこの作品を見に行けという巡り合わせだなと思い、スイスの書店でその場で空席を調べてチケットを取ったんです。


6月の年度末を控えて、下の子も試験がたくさんあるのですが、ストイックな下の子は試験前は絶対に遊びの予定を入れません……。


(親の私が、ちょっとくらいいいじゃーんって、推しのテレビ番組を見ようと誘っても、そんな短時間でも絶対に誘いに乗らない)


そういえば、最近ママ友が週末に遊ぼうって声をかけてくれたのですが、下の子がこの日ならいいよって指定したのが、6月中旬……💦


いつもふらっと直前に誘ってくるオーストリア人のママ友には、なんでそんな先の約束しかできないのか、まったく理解できなかったと思います泣き笑い


(日本人でも理解不能大あくび


それはさておき、奇跡的に次の週に何も試験がない週末が初演の日だったので、その日のチケットを取って行ってきました。


16:30開演で18:00には終わる、幕間の休憩もない子連れフレンドリーなスケジュールなこともあって、小さい子もたくさん来てた〜!


今回は遅くチケットを取ったので、上階に気に入る席がなくて、珍しく平土間席。


実際のヌレエフと犬の写真。


でも、私たちの前はとってもご高齢の老夫婦だけでいらしていたり、私の横は1人でいらしてる成人男性だったり、色々な客層の方がいらっしゃいました。


以下、まだ観劇後の怒りが冷めやらず(笑)、感想が辛口になっちゃうので、ご不快な方はスルーしてください。


私はこの作品は、子供向けの音楽+ダンス劇と謳っていたから、下の子を連れてきたわけなんです。


なんでも楽しめる好奇心の強い上の子とは違って、買い物とTikTokしか趣味がないと言っても過言ではない無趣味な下の子。


そんな下の子が唯一興味を持っている犬の話だし、子供向けの作品だからまあ楽しいかな?と思って、この観劇がポジティブな楽しい体験になるように期待して連れてきたんです。


なのに、なんなんでしょう、この作品は?


やりたかったことはわかる。


込めたかったメッセージもわかる。


でも、これが子供向けの作品?


小さい子(推奨年齢は8歳以上)に、この作品のメッセージが伝わるんでしょうか……。


これだったら、私は同じくフォルクスオーパーのファミリー向け作品のオッフェンバッハのオペラ、Die Reise zum Mond(月世界旅行)のほうが1000倍楽しいと思う!


私がもっとも嫌だなと思うタイプの、作り手のエゴが丸出しの、作り手がやりたいことを観客を置き去りにして盛り込んじゃった系の作品で、これを子供向けとして作るなんて、本当にがっかりしました。


舞台装置もパウル・クレー風のクレヨン画のようなタッチで、芸術的ではあるんですが、子供向け作品には暗すぎるかな。


ミヒャエル・ソーヴァの絵の原作の世界観の方が、私はより深みを感じました。


唯一(?)すごく良かったのは、マリカ役(バレエ教師役)のウルスラ・プフィッツナーさんの歌と演技!


あとバレエダンサーの練習シーンは美しくて楽しかったです。


ヌレエフが死ぬシーンも、すごく芸術的で美しい演出ではあったんですが、子供向けでは全然なくて、色々なメッセージを詰め込みすぎていて、大人にとってもちょっと過剰演出な気がしました。


(怖くて泣いてる子もいた!)


とにかく! 


新作をわざわざ作ったのに、テーマ(原作)も音楽もすごくいいのに、最終的にはあれこれ詰め込みすぎて、メッセージ性ばかりが鼻について、製作者の自己満足みたいな作品になっちゃってて本当に残念!


何よりこれを子供向けと謳っていることに、私は一番腹が立ちました。


ほとんどの子供は多分、あんまり作品の意味を理解してないと思うな〜。


エンタメでもないし、胸を打たれたり気づきがあるわけでもなく、中途半端すぎる作品で、とにかくガッカリしました。


でも、久々の下の子と2人だけでのお出かけは楽しかった飛び出すハート


私が酷評し始めたら、下の子も自由な感想は言えなくなると思ったので、自分の感想はグッとこらえて、下の子に「どうだった?」って聞いたら、「うん、楽しかったよ」って、建前上の公式発言が返ってきた泣き笑い


本音の感想は「バレエシーンがキレイで良かったのと、(作品全体が)短く終わったのが良かった」だそうです指差し