５分で学ぶ神の律法
by Darren N. Huckey
Vayeitze 私をちりのようにして下さい 創世記 28:10-32:2
by 小木真人
このパラシャは、ヤコブがアブラハムの家族の中から花嫁を探すためにベエルシェバを出発し、パダン・アラムを目指すところから始まります。しかし、その途中、彼はルツで一夜を明かします。ルツとは、彼がベテル（神の家）と呼ぶことになる町です。その夜、神は夢の中でヤコブを訪れになりました。ヤコブは、天に伸びるはしごを天使たちが上り下りするのを見ました。夢の中で主は、こう約束されました。
あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西へ、東へ、北へ、南へと広がり、地のすべての部族はあなたによって、またあなたの子孫によって祝福される。(創世記28:14）
この聖句の最初には、「あなたの子孫は地のちりのようになる 」とあります。これは補足の説明なしでは、はっきりしないお告げです。誰がちりのようになりたいと思うでしょうか？ちりはこの世で最も価値のないものではないでしょうか。ちりに戻ることは、すべての生き物にとって避けられない未来ではないのでしょうか。創世記3:19、伝道者の書3:20にはこう書かれています。「すべてのものは土のちりから出て、すべてのものは土のちりに帰る 」 塵はヤコブの子孫の数え切れないほどの増加を象徴しているからです。
原語のヘブル語では、「あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西へ、東へ、北へ、南へと広がる」というフレーズは、ufaratzat という言葉で終わっています。「そしてあなたがたは広がる」と言う意味があります。
1950年代後半、超正統派ユダヤ教のラビである、Menachem Mendel Schneersonは、彼の新しいユダヤ教運動の基礎としてこの一節を使用しました。彼の目標は、ユダヤ人宣教師を世界の最も辺鄙な場所に送り出し、ユダヤ人をトーラーと、その戒律に近づける事でした。彼は、地を覆うことを約束された者たちによって、トーラーの光が地上に広がることを望んでいたのです。
しかし、なぜ神はヤコブの子孫をちりにたとえられたのでしょうか？ユダヤ教の毎日の祈りの中に、それを読み解く手がかりがあります。毎日の祈りの中心的な祈りである Amidah/アミダーの終わりに、Rabina/ラビナの息子、Mar/マーによるとされる懇願の祈りがあり、私たちはこう祈ります。「私を呪う者たちにとって、私の魂は沈黙して、ちりの様になりますように。」多くの人にとって、これは理解しがたい祈りです。なぜ、他人の呪いに対して、ちりのようになるまで黙っていたいと思うのでしょうか？私たちは、まるで床マットのように、他人に踏みつけられて良いと言うのでしょうか？
これは、イシュアが弟子たちに教えたことと一致します。
あなたがたの敵を愛しなさい。あなたがたを憎む者たちに善を行いなさい。あなたがたを呪う者たちを祝福しなさい。あなたがたを侮辱する者たちのために祈りなさい。あなたの頬を打つ者には、もう一方の頬も向けなさい。あなたの上着を奪い取る者には、下着も拒んではいけません。（ルカの福音書 6:27-29）
使徒パウロはこの原則を強調しています。
愛する者たち、自分で復讐してはいけません。神の怒りにゆだねなさい。こう書かれているからです。「復讐はわたしのもの。わたしが復讐する。」（ローマ人への手紙 12:19）
私たちは、神が私たちの究極の復讐者であることを常に忘れてはなりません。
ほこり(ちり)はどこにでもあります。私たちがどんなにほこりをなくそうと努力しても、ほこりは忍び寄り、すべてを覆います。うっとうしいものです。しかし、私たちは、ほこりが最終的に人間の功績を称えるすべての記念碑を覆ってしまう事を知っています。考古学者たちは、地球のほこりが何世紀にもわたって飲み込んできた文明全体の痕跡を発見するために、今も努力を続けています。地上のほこりがゆっくりと、すべてを征服し、すべてを覆っていくように、ヤコブの子孫もまたそうなのです。歴史上、多くの人々がヤコブの一族を絶滅させようと試みましたが、成功した者はいません。Haman/ハマンも、Antiochus/アンティオコスも、ヒトラーも、その他多くの人々も、皆いなくなりました。しかし、神の約束は残っており、ユダヤの民は地のほこりのように、見渡す限りどこまでも、世界中に散らばっています。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
来週の「５分で学ぶ神の律法」にもご参加下さい！
