NHKドラマ10「テミスの不確かな法廷」を観ました。先週初めて途中から観て、そのストーリー、キャラクターたちに大いにほれ込んだので、今週も楽しみにして待っていました。大正解でした。  

 

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運送会社に勤めていた、ある女性の父がトラックの事故で死亡し、通行人も巻き込んで死亡させました。娘は、その原因が過重労働だとして運送会社相手の民事訴訟を起こします。  

 

なぜ事故を起こしたのか? 運転ミス。ハンドル操作を誤ったのか?  

 

娘は真実を知りたい、と願います。長時間勤務などで不和になった両親が離婚し、娘は父を恨んでいました。父が会いに来ても心を開かなかった。養育費を支払っていない、と誤解していました。しかし、父は支払っていたのです。  

 

多くの運送会社がつぶれる中で、この会社は生き残っていました。「経営努力」とは何か? 主人公の判事補は業界の事情を調べて回ります。  

 

その過程で、会社の勤務実態について内部告発したい、という者が現れました。ところが、突然、告発を取りやめます。判事補が街で鞄を置き忘れたとき、内部告発のことを偵察していた者が関係書類を見たようです。会社が口を封じた、と考えられます。  

 

彼女の父は仕事を掛け持ちしていました。会社の低賃金では養育費もなかなか払えない。その結果の過重労働、長時間勤務であれば、「自己責任」とされてしまいます。会社側弁護士は、運転時間の規制を守った証拠として、ドライブレコーダーを提出します。  

 

しかし、判事補は、なぜ2日分だけ記録が無いのか?と疑います。その日は、担当する他の裁判で知った交通検問のあった日でした。そして、コンビニの防犯カメラを調べ、トラックが検問前に荷物を積み替えている現場が映っていることを示します。  

 

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「過積載」と「長時間労働」、「人手不足」、「ブラック企業」・・・  

 

2024年4月から、トラックドライバーは、4時間を超える連続運転の禁止など、さまざまな規制が強化されました。ドライバーたちは最低運送料を引き上げる対策を求めていました。運送料を上げて、賃金も上げてほしい、と。  

 

ところが、事故を起こしたドライバーが過積載を申し出た、と社長は証言します。ドライバーたちを誘って辞めると脅された、とまで言いました。  

 

話は業界や政界、法曹界に広がります。トラックの過重労働や事故、過労死の問題が、規制強化につながった背景がこの事件(父の事故と死)を生む圧力になったからです。規制を導入したはずの物流業界トップが、下請けの運送会社に過積載を強要した疑いがある。  

 

そして、その会長は規制を導入した大臣と親しい。それは裁判長に対する上司からの圧力となる。自分たちの天下り先を確保するために、提出された証拠に基づく「穏当な」裁判を求める。  

 

証拠のみに基づいて判決を下す。何が真実か、なんて「考えない。」  

 

かつて反逆児であった判事も、牙を折られた。なぜなら、地方支部をたらいまわしにされたから。それでも、家族がいたから辞めなかった。  

 

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会社側弁護士は、和解金の積み上げと、反訴、すなわち、巨額の賠償請求、という脅しで、事実を社会に隠すため、口封じと卑劣な報復を宣言します。  

 

それでも、ドライバーの娘は和解金より真実を求めました。  

 

裁判長は、真実を曲げてはいけない、と確信します。裁判の前に、彼はロックンロールを聴きます。RCサクセション(忌野清志郎)の「雨あがりの夜空に」。 

 

 裁判長は、反訴の根拠となる「安全管理に落ち度がなかった証拠」を厳格に提示するよう求め、実質的に会社側へプレッシャーをかけました。 

 

覚書、礼金? 「口封じ」として内部情報の守秘義務を求める。しかし、会社側の真の狙いは、法的な有効性よりも「心理的な負い目」です。返還の脅しと共犯意識を持たせる。  

 

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会社のドライバーが、子どもたちのために、考え直して内部告発を行う、と連絡してきます。仲間の死を黙認できない。自身の卑劣な裏切りを、子どもたちは許さないだろう。このままだと、また同じような事故が起きる。  

 

そう。すべては子供達のために。  

 

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「中道」改革連合が勝つためには、「テミスの不確かな法廷」が必要だ、と思いました。政党の合同による、微妙な地雷を避ける説明口調・・・慎重な「中道」路線ではなく、若手の反逆児たちが議論をリードしなければならない、と思います。  

 

ロックンロール。 RCサクセション(忌野清志郎)の「雨あがりの夜空に」を聴いて血が騒ぐ、体制批判の魂です。 

 

  どうしたんだ Hey Hey Baby 

  バッテリーはビンビンだぜ 

  いつものようにキメて ぶっ飛ばそうぜ  

 

ポピュリストや強権指導者・国家主義は答えにならない。税金反対や外国人排斥も答えにならない。野党が競うべきは、成長や富の増大する社会・制度を明確に議論し、不当な所得格差、非正規の暮らす分断社会を、放置している既得権層と政治を拒み、公正な分配と社会的正義を求める姿勢です。  

 

今週のReview 2/2/2026