D.アセモグル、S.ジョンソン、J.ロビンソンの受賞に、意外な印象を受けました。平和賞もそうですが、その選考はときどきの政治的な意味合いを考慮したバランスが決めるものだと思います。

 

YAHOO ニュース「悪質SNS「現代の最悪の罪」 ノーベル経済学賞アセモグル氏会見」(毎日新聞、ワシントン大久保渉)を読みました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9d1b969cadc32833fe77b5915bcf9efa57be0447

 

私には歓迎したいバランス感覚です。アセモグルとジョンソンの受賞を記念するリモート質疑をYouTubeで観ることができます(字幕・自動翻訳あり)。

 

MIT economists Daron Acemoglu and Simon Johnson share Nobel Prize in Economics

 

彼らは「包括的制度」を重視し、独裁制が成長を損なうと考えます。民主主義の後退は、政治家たちが人々に約束したテクノロジーによる生活の改善を実現しなかったことに起因している。中間層、労働者階級の生活水準を改善していない。

 

テクノロジーとそれがもたらす成果を、正しくつなぐのが制度です。民主主義は制度を最も公平な、公正なものにするはずですが、歪んだ、間違った制度も支配層には大きな利益をもたらすため、容易に改革することはできません。

 

テクノロジーの問題と、だれが支配するのか?という問題は、彼らの最も重視する問でした。

 

質疑の最後に、ジョンソンが指摘した将来のもっとも重要な研究テーマは、テクノロジーと汚職です。またアセモグルは、SNSによってコミュニケーションが汚染され、二極化や悪者にする言説がもたらす破壊的な影響を止めるべきだ、と強調しました。

 

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世界の貧困はどうしたらなくなるのか? どうして解決できないのか?

 

全く異なる視点で、開発経済学は死んだ、というRavi Kanburの論説(The end of development economics, VoxEU 27 Sep 2024)も読みました。

https://cepr.org/voxeu/columns/end-development-economics

 

その議論は、ノーベル経済学賞を得たクルーグマンの経済地理学(開発経済学批判)に連なるものです。また、2019年の受賞者、デュフロが強調するのも、開発経済学ではなく、貧困を解決する政策介入をミクロ経済学で実証することです。

 

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私は、今もルイス・モデルを重視し、計量地理学からマルクス主義地理学に向かったデヴィッド・ハーヴェイの研究を好んで読みます。最近、アメリカ大統領選挙後の内戦に関して、FPがBarbara F. Walterに対しておこなったインタビューを紹介しました。

 

新自由主義やグローバリゼーションに対する批判、そして、世界の経済成長と民主主義のゆくえを深く懸念して、ノーベル経済学賞が軌道修正した、と思いました。

 

そしてThe Economistは、アメリカと西側諸国がウクライナの戦況が悪化していることを認めて、今すぐに打開すべきだ、と強く主張しました。

 

カマラ・ハリスがバイデンの尻を蹴とばして、イスラエルによる武力行使が民間人に与えている被害を調査する、とネタニヤフに告げ、また、ロシア国境内でも攻撃基地や武器庫を破壊する長距離ミサイルと誘導データの利用を承認する、とゼレンスキーとプーチンに告げさせるときでしょう。