The Guardian, Thu 24 Dec 2020

At long last we have a Brexit deal – and it's as bad as you thought

Tom Kibasi

 

ボリス・ジョンソンはいつも取引(ディール)を歓喜とともに伝える。それは彼の勝利の瞬間だった。反EUのイギリス政治がピークに達した。右派の新聞は書きたてる。

 

しかし国民は無関心だ。政府のいい加減なパンデミック対策に苦しんでいる。勝利を叫ぶブレグジット強硬派の楽観論は、冷たく、暗い、じめじめした、いつもの冬の日でしかない。

 

世界最大の市場圏から出るという考えは、過大なエゴと自己顕示に満ちた中年の男たちが魚(漁業権)をめぐる議論をするうちに溶解する。いつものように狂気に満ちており、困惑させられる。

 

この国の政治とメディアが示すのは、ブレグジットが常に、現状を破壊する、という誘惑であったことだ。

 

この取引は薄い膜でしかない。イギリスが優位を持つ(金融、情報など)サービスに関して、EU諸国に売ることは困難になるだろう。イギリス人はEU諸国において、自由に旅行し、働き、居住する権利を失う。財の輸出に関税や規制はないけれど、EU規制に関する源泉国や申告書に従うため、数十年を経て初めて、チェックを受ける。

 

政府は規制の自律した権限を求めて激しく闘った。それはイギリスが現状の重力圏から離脱するための速度を必要とするからだ、と。しかし、そんな話は幻想である。イギリスの生産者は輸出のためにEU規制を満たすことを必要とする。イギリスが独自の規制を設けるほど、国際競争力を損なうだろう。

 

ここ数日の港における混乱状態が示すように、たとえこの合意が円滑に実施されても、成長率を2%も下げ、インフレ率を3.5%上げる、と推定されている。イギリスへの外国投資は減るだろう。

 

この結果はジョンソンが選択したものだ。2016年の国民投票から生じた避けがたいものではない。人びとが支持したのは、経済協力を終わらせることではなく、それを異なる政治的基礎の上に据えること、主権をブリュッセルにプールするのではなく、より明確に、厳格に、議会に据えることである。

 

ジョンソンの取引は、全国の貧しいコミュニティ、衰退する製造業にとって、特にイングランド北部と中部にとって厳しいものだ。労働党がこうした取引を支持することは理解できない。政府案に反対することは「合意なしの離脱」を意味する、というのは間違いだ。期限というのは政治家たちが決めたもので、政治的意志があれば延長可能である。良い合意を妨げているのは、EUではなく、保守党のイデオロギーだ。

 

ブレグジット合意のために保守党に多数を与えたことで、ジョンソンは歓喜の「リセット」を迎えた。労働党はこの粗末な取引に反対せよ。

 

ブレグジット×トランプの時代 小野塚佳光(著/文) - 萌書房