FT April 30, 2020

The golden age of Jared Kushner

Edward Luce

 

Fox Newsで、クシュナーはアメリカ経済の回復を約束し、トランプ政権のコロナウイルス対策を「大成功」と語った。

 

しかし、アメリカの失敗をまねる国はどこにもない。アメリカはすでに6万人が死亡し、世界全体の死亡者数の4分の1、感染者数の3分の1を占める。アメリカ人口は世界の5%でしかない。42か国がアメリカよりも人口当たり多くの検査を行っている。国によっては何倍も多い。

 

外国の指導者たちは、アメリカ大統領に話すために、彼の家族を介して話す必要がある。クシュナーは、大統領だけを聴衆にして話している。大統領は諸州(Texas, Florida, Tennessee and South Carolina)に経済を再開させたがっているが、それはリスクの高い戦略だ。

 

東海岸で爆発した感染拡大が、南部に向かう兆候が見られる。検査や追跡の体制もないまま封鎖を解くのは、新しい感染爆発につながるだろう。

 

1月初め、中国から感染が拡大し始めたとき、トランプ政権は分裂していた。中国に対する強硬派のナヴァロらのグループは厳格な規制を主張した。1月末に、彼らはトランプを説得して中国からの航空便を禁止した

 

クシュナーら、ムニューシン財務長官を含むグループは、コロナウイルス危機が誇張であり、過剰な反応は再選を脅かす、と主張した。クシュナーは概ね優位な位置にあり、トランプはその後の措置を何も取らなかった。

 

FTはコロナウイルス危機を無視しているブラジル、ベラルーシなどの諸国を「ダチョウ連合」とよんだ。クシュナーはホワイトハウス内のダチョウ派首領である。パンデミックの経験もないのに、政権内の「影のコロナウイルス対策班」を率いた。そして未完成の中東和平案と同様、彼のビジネス仲間やマッキンゼー・コンサルタントを招き入れた。

 

世界はこれまでにない異なるアメリカに直面している。外国指導者や州知事たちが、そして中国も、クシュナーを大統領の関心につながる者とみなす。サブサハラ・アフリカでしか見られないような意思伝達方法だ。COVID-19は、アメリカが家産制国家・族長支配に戻ったことを示した。

 

族長家族の言葉は、科学よりも重い。アメリカは、トランプ家による、トランプ家のための、トランプ政権とともに生きる。

 

ブレグジット×トランプの時代